「Pocket WiFi」は世界でも売れている――徹底した“お客様志向”で生まれるHuawei端末(2/2 ページ)
海外の携帯電話メーカーは“ブランド”を形成することで独自色を打ち出しているというイメージが強いが、Huaweiのビジネスモデルは異なる。同社が端末事業で最優先するのは「お客様(=通信キャリア)」。Huaweiが目指す価値ある製品とは――。
キャリアの要望に合わせた“スマートデバイス”を開発する
携帯電話端末の中ではスマートフォンに注力するという。「T-Mobileに供給したAndroid端末『Pulse』は3カ月で10万台以上を出荷しました。Android端末には多くのリソースを投入してシリーズ化していきたいです」とチャン氏は話す。また中国では、China MobileとChina TelecomにWindows Mobile端末「C8000」「C8100」を、2010年第1四半期にはChina Mobileに「OPhone」も供給する予定で、OSを問わずスマートフォンを積極的に開発していく。
スマートフォンは多くのメーカーが開発しているが、Huaweiならではのこだわりはあるのだろうか。チャン氏は「まず模倣をしないこと。ほかのメーカーと同じようなものを作っても面白くありませんが、頭を抱えているのが正直なところです」と、個々の端末で独自色を打ち出す難しさを話す。Huaweiの優位点は「ほかの端末メーカーよりも製品のポートフォリオ(組み合わせ)が広いこと」だという。
今後はスマートフォンだけでなく「音声端末のラインアップも拡大したい」とチャン氏は話す。「エンドユーザーの音声端末に対する要求は高くなっていて、機能や操作性が劣ると売れません。中国にはW-CDMAとCDMA、TD-CDMAという3つのネットワークがありますが、ユーザーはネットワーク方式ではなく端末で通信キャリアを選びます。Huaweiにはその点で優位性があります。20年間通信の分野を歩んできたので、端末だけでなくネットワークについても深く理解しています。通信キャリアがどんな製品やサービスを望んでいるかを理解し、各ネットワークに最適な製品を素早く投入できます」(チャン氏)
チャン氏はそうした通信キャリアに価値を提供できる製品を“スマートデバイス”と呼ぶ。では価値ある製品とは何か。同氏はキャリアの要望を反映(カスタマイゼーション)する上で、「ハードウェア」「ソフトウェア」「OS」「ユーザーインタフェース」を重視していると説明する。これら4要素においてキャリアの基準を満たした端末が、Huaweiにとってのスマートデバイスとなる。また同氏は、こうした端末を開発できるだけでなく、同社のR&D(研究開発機関)の組織力により、“早く”開発できることも重要だと説いた。
イラスト入りデータ端末も――Huaweiの“デザイン”にも注目
端末を見た目で選ぶ人が多いこともあり、チャン氏は「デザインも非常に重要」と見ている。「R&Dにデザインの専門部隊を設けており、社内では管理業務を担当しています。デザインに特化したサードパーティと連携しながらデザインを手がけています」(チャン氏)。こうした取り組みが功を奏し、同社の端末がドイツの「レッドドット・デザイン賞」を獲得したこともある。
またHuaweiは、ファッショナブルなデザインを採用したデータ端末「D22HW」を発売したほか、2009年のワイヤレスジャパンでは、イラスト付きデータ端末のコンセプトモデルを展示していた。データ端末は画一的なデザインになりがちなだけに、独自色を打ち出すチャンスを秘めているといえる。
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