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実効速度が2倍以上に――KDDIの「リンクアグリゲーション無線技術」ワイヤレスジャパン 2012

WiMAX、LTE、Wi-Fi、3Gといった複数の通信方式を組み合わせて、より高速で通信できる技術をKDDIが開発している。実効速度は屋内と屋外ともに2倍以上向上するという。

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 KDDIが「ワイヤレスジャパン 2012」のブースで紹介している「リンクアグリゲーション無線技術」は、WiMAX、LTE、Wi-Fi(無線LAN)、3Gなど異なる複数の無線を束ねて、通信の高速化を図れる技術。商用化と商用化の時期は未定。束ねた通信の分だけ速度が上がるので、例えば3G(WIN HIGH SPEED)とWiMAXを組み合わせた場合、下りの理論値は9.2Mbps+40Mbpsの49.2Mbpsになる。実効速度もこれに比例して向上するので、大容量の通信をより快適に行えることが期待される。KDDIの調べによると、ダウンロード速度は屋内では平均2.4倍、屋外では平均2.2倍向上したという。

photophoto 3GとWiMAXを組み合わせた通信のデモを実施。リンクアグリゲーションを使用した端末(右)の方がダウンロードが速い

 現在、スマートフォンで通信をする場合、例えば屋外では3G、自宅ではWi-Fiなど場所によって通信方式が切り替わるが、この技術ではこうした切り替えが不要になる。「Wi-Fiに接続した際、Wi-Fiのネットワークが不安定だと通信が途切れがちになることがあるが、3GとWi-Fiの両方に接続していれば、通信が切れる瞬間はない」(説明員)ため、安定した通信ができるのもメリットといえる。無線を束ねる際には各通信(3GやWi-Fiなど)の品質を見て制御しており、より安定した通信のデータを多く取るようにしている。通信は0.5秒に1回の頻度で端末側が制御しているので、ほぼリアルタイムで最適なリンクアグリゲーションが可能になる。リンクアグリゲーションの切り替えも不要で、例えば3GとWiMAX両方の対応エリアにいる場合、自動で2つの通信が統合される。

 基地局側のソフトウェアを書き換えたり、専用の装置を設けたりする必要がなく、端末側のソフトウェアで実現できるのも特徴の1つ。「ソフトウェアをアップデートして専用アプリを導入すれば、既存の機種でも利用できる」(説明員)のは朗報だろう。デモでは3GとWiMAXに同時接続して通信してたが、WiMAX、LTE、Wi-Fi、3Gの4つをすべて束ねることも技術的には可能だという。ただ、「Wi-FiとWiMAXの組み合わせはAndroid OS上の問題から現時点では難しい」(説明員)そうだ。

 現時点ではAndroidスマートフォン向けの提供を想定している……となると気になるのが消費電力への影響だ。説明員に確認したところ、「それほど深刻な影響はないと認識している。少なくとも倍増するようなことはない」とのことで、商用化までにさらにチューニングされることが期待される。

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