Huaweiが生き残るには“革新的な技術”が必要――そのカギを握るのは?:ファーウェイ・ジャパン副社長に聞く(2/2 ページ)
世界のスマートフォンシェア3位のHuaweiは、日本でもじわじわとシェアを伸ばしつつあるが、まだ成功しているとは言い難い。Huaweiの強みとは? そして日本でどのように展開していくのか? ファーウェイ・ジャパンの端末責任者に話を聞いた。
Ascend P6の中身はほとんどが日本製
―― Ascend P6は、確かにこれまでのスマートフォンから変わった印象を受けますが、主にどこで開発したのでしょうか。また、日本人スタッフの声を取り入れたこともあるのでしょうか。
ウー氏 本体カラーは日本で調査して上位に入ったブラック、ホワイト、ピンクを採用しました。ディスプレイパネルはジャパンディスプレイ、バッテリーはソニーなど、本体部品のほとんど日本製であることも、Huaweiが日本に研究施設を作った大きな理由です。ファーウェイ・ジャパンは日本でビジネスを展開していますが、海外から技術を持ち込むのでなく、日本の技術を取り入れて、日本の消費者へサービスを提供している。技術的に強い者同士が組んでいる状態ですね。
―― Accend P6は“紙”からインスピレーションを得たと聞きました。このデザインは、ほかのデバイスでも取り入れていくのでしょうか。
ウー氏 このデザインはスマートフォンに限らずタブレットにも応用していきます。Ascend P6のデザインは、グローバル市場でも受け入れられています。
―― Ascend P6は、2つのCを重ね合わせたデザインが印象的ですが、従来のAscend D2やAscend Mateなどのデザインも継続していくのでしょうか。
ウー氏 AscendにはD(Diamond)、P(Platinum)、G(Gold)、Y(Youth)という4つのシリーズがあります。それぞれに独自のデザイン言語がありますが、「格好いいスマートフォンを提供する」という共通したデザイン言語は変わりません。
―― Ascend P6は、世界でどのように評価されていますか。
ウー氏 中国、欧州、ラテンアメリカで非常にご好評いただいています。各地の市場アンケートの結果を見ると、「シンプル」「軽い」「一目見て欲しい」と思う人が多いようです。
「Appleに勝つ」という考えは持っていない
―― スマートフォン、タブレット、モバイルWi-Fiルーター、デジタルフォトフレーム、さらには子ども向けケータイなど、なぜこれだけ多数のジャンルの製品を、日本で早く投入できるのでしょうか。
ウー氏 Huaweiの社員が新人研修で真っ先にたたき込まれるのが“お客様第一”です。Huaweiではどの分野の人とも、お客様中心の理念に基づいて仕事をしています。ただ率直に申し上げますと、日本市場でのHuaweiは規模が小さく、まだ成功には遠いので、謙虚な姿勢で、日本のユーザーが何を求めているかを学び続けたいと思います。
―― 日本のスマートフォンは「iPhone」が大きなシェアを占めていますが、Appleに勝つには何が必要だとお考えですか?
ウー氏 Appleを打ち負かすという考えは持っていません。1つ例を挙げると、N社のシェアはかつて世界1位でしたが、「どこかに負けたから」というわけではなく、自ら失墜していった感があります。同様に、M社も日本で高いシェアを持っていましたが、今では日本市場から撤退しつつある状況です。
端末業界は1年に1回小さく変化して、3年に1回大きく変化する。変化が激しい業界なんですね。技術とユーザー体験は多様化しているので、1社だけが長い期間、トップシェアを持ち続けるのは難しいでしょう。ですので、全世界の端末メーカーにとって、生き延びることが一番の課題だと思います。もちろんHuaweiも例外ではありません。
―― Huaweiが生き残るには、何が必要ですか?
ウー氏 革新的な技術ですね。そのカギを握るのが、チップセットとディスプレイパネルです。Huaweiはチップセットの投資を拡大していますし、パネルについては日本に優れたパートナー企業がいます。端末の形態や(シェアの高い)OSが大きく変わらなければ、この2つの重要性は変わらないと思います。
―― 今、特に注目している市場はありますか。
ウー氏 世界初のLTE Category4端末を投入した日本は、戦略的な市場の1つです。日本におけるHuaweiは、ほかのメーカーや市場よりも半年から1年ほど先行しています。日本はHuaweiにとって重要で戦略的な意義を持った市場です。
―― 日本でブランド認知を上げるために、何が必要と考えますか。
ウー氏 (Pocket WiFiなど)個々の製品ブランドは高くても、Huaweiの知名度アップには結びつきませんでした。CEATECの広告では、これまでの製品ブランドとHuaweiを関連づける形で宣伝しましたが、1日や2日で変わるものとは思いませんし、長い期間かけてやらなければならないことは認識しています。ブランディングは長期的に取り組んでいきたいです。
関連キーワード
華為技術(Huawei) | Huawei Ascend | Ascend P6 | Apple | モバイルルータ | チップセット | メイドインジャパン | 無線LANルータ | Ascend D2 | Ascend Mate | 新人研修 | CEATEC | 中国 | デジタルフォトフレーム | Ascend D2 HW-03E | iPhone | ジャパンディスプレイ | LTE(Long Term Evolution) | ユーザーエクスペリエンス | Wi-Fi
関連記事
- CEATEC JAPAN 2013:「Ascend P6」で刷新したHuaweiのスマートフォン戦略――LTE版も開発中
ファーウェイ・ジャパンがCEATECで、厚さ6.18ミリのグローバルモデル「Ascend P6」を日本で初めて披露した。日本での発売は未定ながら、10月1日の発表会であらためて特徴を説明したのは、P6がHuaweiにとって“新しいAscend”に位置づけられるからだという。 - 「使ってみたらすごくいい」で“ファン”を増やしたい――Huaweiに聞く、日本市場の攻め方
Ascendシリーズで幅広いスマートフォンを投入しているHuawei。日本では「STREAM X(GL07S)」と「Ascend D2 HW-03E」が発売され、スマートフォンにも力を入れている。同社の日本におけるスマートフォン戦略を中心に話を聞いた。 - IFA 2013:Huawei、ドイツ向けSTBを紹介 厚さ6.18ミリの「Ascend P6」も展示
IFAのHuaweiブースでは、独で提供する予定のセットトップボックスや、最新のスマートフォン・タブレットを紹介している。 - Huawei、厚さ6.18ミリの世界最薄スマートフォン「Ascend P6」を発表
厚さわずか6.18ミリ、重さ120グラムを実現したHuaweiの最新スマートフォン「Ascend P6」が発表された。クアッドコアCPUや4.7インチHD液晶、そしてHuawei独自の「Emotion UI」や「Magic Touch」などを搭載する。 - 2013年後半にLTE版も登場予定:スマートフォンを“紙のようなシンプルなフォルム”に――「Ascend P6」投入の狙い
6月18日、Huaweiがロンドンで新製品発表イベントを開催し、世界最薄となる厚さ6.18ミリのスマートフォン「Ascend P6」を発表した。本製品でHuaweiが目指したのはデザインと使いやすさの両立だ。2013年後半にはLTEに対応したバージョンも登場する予定。 - 調査リポート:第3四半期の世界スマートフォン出荷台数は過去最高──IDC調べ
メーカー別ランキングでは首位のSamsungがさらにシェアを伸ばし、2位のAppleとの差を広げた。 - ドコモ、「Ascend D2 HW-03E」を5月8日に発売
NTTドコモは、Huawei製のAndroidスマートフォン「Ascend D2 HW-03E」を5月8日からドコモオンラインショップで発売する。店頭販売は5月21日開始の予定だ。 - ドコモ、下り最大112.5Mbps対応のモバイルWi-Fiルーター「HW-02E」を3月16日に発売
LTE Category4(下り最大112.5Mbps)に対応したドコモのモバイルWi-Fiルーター「HW-02E」が、3月16日に発売される。 - 2013 International CES:Huaweiの“強み”とは?――「Ascend D2」「Ascend Mate」の狙いとスマホ戦略を聞く
「不可能を可能にする」――そんな社是のものと、チャレンジ精神を持ってインフラ事業や端末事業を展開しているHuawei。今回はCESで発表したAscend D2とAscend Mateの狙いや優位性、そして日本市場への取り組みについて聞いた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.