日本メーカーとしてワクワクするものを作る――生まれ変わった「FREETEL」で目指すもの:"原則縛りなし”のSIMも(2/2 ページ)
プラスワン・マーケティングの「freetel」が、「FREETEL」にブランドを刷新する。新ブランドのもと、SIMフリー端末・通信(SIM)・店舗チャネルを統合した「SIMフリーキャリア」として、そして日本品質を世界に届ける端末メーカーとして、新たなる一歩を踏み出す。
Windows Phoneは「Windows 10 Mobile」リリース後に登場
プラスワン・マーケティングでは、Windows Phoneを2015年夏に日本で発売することを表明し、2015年3月に開催された「World Mobile Congress」で実機の展示も行っていた。今回の発表会は、発売予定の「2015年夏」に近いこともあり、Windows Phoneに関して何らかの言及があるのでは、と注目を集めていた。
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増田社長は、まもなく登場する予定の「Windows 10 Mobile」について、「モビリティを考えたときに最高傑作である」とした上で、「最初に(Windows Phone)8.1でスマートフォンを出して、それを(Windows 10 Mobileに)アップグレードさせることも考えたが、Windows 10 Mobileにカスタマイズしてフルチューンした端末を出した方が、よりエンドユーザー(利用者)にとってプラスである」という理由から、当初の予定から変更し、Windows 10 Mobileの発売からなるべく早い時期に、同OSをプリインストールしたスマホを2機種発売することを明らかにした。
Windows 10 Mobileを搭載するスマホは、「KATANA(カタナ)」というブランドが与えられ、4.5型フルワイドVGA(480×854ピクセル)解像度のIPS液晶を搭載する「KATANA 01」と、5.0型HD(720×1280ピクセル)解像度のIPS液晶を搭載する「KATANA 02」の2機種が登場する。いずれもNTTドコモの800MHz帯LTE(バンド19)と、ソフトバンクモバイルの900MHz帯LTE(バンド8)のいわゆる「プラチナバンド」に対応しており、ボディカラーは5色展開を予定している。価格は、KATANA 01が1万9800円、KATANA 02が2万9800円(ともに税別)となる。
Windows Phoneは、法人市場での引き合いが強いといわれている。そこで、プラスワン・マーケティングでは、法人PC市場に強いダイワボウ情報システム(DIS)と協業し、KATANAシリーズのWindows Phoneを中心に、法人市場での販売を本格的に行う。DISからは、取締役 販売推進本部長の松本祐之氏がゲストとして登壇し、KATANAシリーズへの期待を述べた。
端末ラインアップを拡充しつつ、既存端末へのケアも
今回の端末ラインアップは、Windows Phoneだけではない。2014年5月に発表され、同年8月に発売を予定していたシンプルなフィーチャーフォン「Simple」が、2015年夏にようやく発売となる。
ここまで発売が遅れたことについて、囲み取材で尋ねられた増田氏は「実は、昨年(2014年)の発表の段階で、(通話機能だけなら)普通に動いていた。しかし、(SMS作成画面で)パ行の入力のタイミングが微妙だった。SMSだけなので、そこまでこだわらなくても良かったのかもしれないが、やっぱり、(品質面で、一定水準を)超えたかった」と理由を述べた。なお、Simpleは、Androidではなくフィーチャーフォン用OSを採用している。そのことが、文字入力の改善の上で苦慮した原因であることも合わせて示唆した。
また、Androidをプラットフォームとして採用するフィーチャーフォン「Galaho(ガラホ)」(仮称)も2015年秋に投入する予定としている。先行する大手キャリアのAndroidフィーチャーフォンでは、Google Playにあえて対応させないことが多いが、「Google Playにもきっちり対応することで、スマホの世界の楽しさも最大限味わえる」ように差別化を図っている。
さらに、既存の端末のサポートとして「Priori2」のAndroid 5.0へのバージョンアップを7月をめどに実施することも発表された。増田社長は、「うち(プラスワン・マーケティング)は、“販売するまでを頑張るメーカー”には絶対なりたくない。販売してからが、本当のお客さまとの関係の始まりである。製品も、発売後もきっちり良いものにしていく」と、その狙いを語った。
Androidスマートフォンでは、新しく「SAMURAI(サムライ)」シリーズを立ち上げる。5.0型HD(720×1280ピクセル)解像度のIPS液晶を搭載するミドルレンジモデル「雅(MIYABI)」と、6.0型ディスプレイを搭載するフラッグシップモデル「極(KIWAMI)」の2機種展開で、いずれもOSとしてAndroid 5.0を搭載する。価格は、雅が1万9800円、極が3万9800円(いずれも税別)となっている。
雅は、今回の発表会で新規発表された機種では唯一、詳細なスペックが公表されている。先述の2機種のWindows Phoneと同様、NTTドコモとソフトバンクモバイルのプラチナバンドに対応し、ボディーカラーは白、黒、シャンパンゴールドの3色で、発売は2015年夏を予定している。
極は、発表会ではスペックの“ヒント”となる「8」「32」「2000」「21」の4つの数字が示された。このうち、「8」について、増田社長は「8は、オクタコア(8コア)CPUのことを示している」としたが、それ以外の3つの数字については、Webサイトなどで後日明らかになるという。発売は2015年秋を予定している。
SAMURAIシリーズに「強い思いを持っている」という増田社長。「日本のものづくりには、『わくわくする』『欲しい』というものがあったはず。しかし、昨今の日本のハードウェアは、それを提供できているのか(という疑問がある)。製造拠点もどんどんどんどん海外へと移っていってしまった」と、日本のスマホにとどまらず、工業製品を取り巻く現状を指摘した上で、「日本のものづくりを絶対に復活させたい。日本メーカーとして、わくわくする製品を提供していきたい」とし、SAMURAIシリーズにかける意気込みを熱く語った。
海外展開では、FREETEL端末をアジア、北中米、ヨーロッパ、中近東の31カ国で2015年内に販売開始することが明らかにされた。新しいFREETELが掲げる「Made by JAPAN」を世界に届ける取り組みで、まずは、SAMURAIシリーズを仕向国・地域ごとに無線まわりを中心にカスタマイズして投入する。
小文字の「freetel」から大文字の「FREETEL」へとブランドを刷新し、サービスの中身や端末ラインアップも大きく変わりつつある。小さなメーカーの大きなチャレンジが、元気のない日本の大手携帯電話メーカーにとって良い意味での刺激になることを期待したい。
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