スペック、価格、SIMフリー版は?――「iPhone SE(仮)」で注目すべきポイント
3月22日(日本時間)に発表されるとみられる小型のiPhoneこと「iPhone SE(仮)」。既にさまざまな情報が飛び交っているが、この新モデルの詳細を予測するとともに、日本で発売されることの影響を探っていきたい。
日本時間の3月22日午前2時、Appleが新製品の発表イベントを開催する。ここで、4型のディスプレイを搭載した「iPhone SE(以下、仮称)」が発表されるとみられており、海外のニュースサイトを中心に、連日この新モデルに関するうわさが誌面をにぎわせている。これらの情報も踏まえてiPhone SEの詳細を予測するとともに、日本市場での影響を考えていきたい。
製品名は「iPhone 5se」? 「iPhone SE」?
製品名は、当初「iPhone 6c」「iPhone 5se」などと予想されていたが、米国のメディア「9TO5Mac」によると、製品名は数字を含まない「iPhone SE」が有力なようだ。iPhone SEは、同じく4型ディスプレイを搭載する「iPhone 5s」の後継モデルだとするなら、「5」が付くのが自然だが、現在の主力が「6」「6s」であるため、現行ラインアップでの位置付けが不明瞭になるためだろう。SEは「Special Edition」の略とする説と、「5」が付かないことが本当なら、「単なる廉価版だと思われたくない」というAppleの思惑が見え隠れする。
デザインやカラーバリエーションは?
外観は側面にエッジカットを施したiPhone 5sとは異なり、iPhone 6/6sと同様のラウンド形状になるといわれている。仮にiPhone 5sと同じフォルムになると、見た目からも「iPhone 5sのアップデート版」が強調されるため、5sからの進化を際立たせるのであれば、形状を変えると考えるのが自然だ。そうなると、5s用のケースなどは使えない可能性もある。
カラーバリエーションは、Appleのイベント告知サイトに掲載されているリンゴの葉にシルバー、ゴールド、ピンク系統の色が使われていることから、iPhone 6s/6s Plusと同様に、シルバー、ゴールド、スペースグレイ、ローズゴールドの4色展開になる可能性が高い。春商戦という時節柄もあり、桜を連想させるローズゴールドが出れば、日本でも人気を集めそうだ。
スペックはiPhone 6s相当?
スペックについては、iPhone 6sに近いものになりそうだ。9TO5Macによると、心臓部でもあるプロセッサには「A9」、各種センサーの処理を行うモーションコプロセッサには「M9」を採用し、「Apple Pay」を利用するためにNFCもサポートするという。
画面を強く押し込むことでショートカットやプレビューなどが可能になる「3D Touch」は、iPhone SEではサポートしないといわれている。指紋認証ができる「Touch ID」は今回も搭載されるだろうが、このタイミングだと、iPhone 6sと同じく、5sよりも認証速度の増した第2世代のセンサーである可能性が高い。
ストレージは、16GBと64GBの2種類になるとみられている。ただ、「Apple Insider」によると、iPhone SEのアウトカメラは1200万画素で、4K動画の撮影が可能になるそうで、動画撮影はフルHDまでだった5sよりもカメラスペックは上がっている。そうなると、撮影した写真や動画の容量が増すため、16GBのストレージではつらくなりそうだ。16GBといっても実際に使えるストレージは10GB強なので(iPhone 5sの場合)、アプリ、写真・動画をある程度保存すると、あっという間に容量がいっぱいになってしまうことは念頭に置いておきたい。
上記の仕様が正しければ、4型ディスプレイと3D Touchを除き、iPhone SEのスペックはiPhone 6sに近いものになりそうだ。
価格はどの程度?
9TO5Macをはじめとするサイトの情報によると、iPhone SEの価格は400〜500ドルが予想されるという。日本円にすると約4万5000〜5万7000円だが、現在のiPhone 5sの価格(SIMロックフリーとY!mobile版)が5万8800円(16GB)、6万4800円(32GB)なので、これより安くなるとは考えにくい。スペックが6sに近いのなら、6万〜7万円台あたりが妥当ではないだろうか。価格はいずれも税別。
日本の携帯事情を見ると、総務省がスマートフォンを実質0円で販売する施策を見直すよう3キャリアに勧告しており、2月からは実質0円での販売がなくなっている。もちろんこれはiPhone SEも例外ではなく、iPhone 5sやiPhone 6のように16GBモデルが実質0円で売られることは恐らくないだろう。iPhone 6s(16GB)の3キャリアの実質価格は4万〜6万円ほどなので、本体価格の差を考慮すると、日本の通信キャリアが扱うiPhone SEは実質2万〜4万円台が妥当なところか。
iPhone 5sの扱いはどうなる?
iPhone 5sのSIMロックフリーモデルは日本でもまだ販売されているが、iPhone SE発売後は、5sは値下げされるか、販売を終了する形になりそう。
ただ、忘れてはならないのが、日本ではY!mobile(ソフトバンク)が3月4日からiPhone 5sを販売していることだ。Y!mobileでは、端末代+通信費込みで月額2980円からiPhone 5s(16GB)を使えることを訴求しており、実際のところ売れ行きも好調のようだ。
iPhone SEが発売されてもY!mobile版iPhone 5sの販売は継続するだろうが、実質価格が2400円からと既に安いので、一括価格が値下がりする可能性は低そう。ともあれ、安さを重視するならiPhone 5s、サイズ感とスペックのバランスを重視するならiPhone SE――という具合に、ドコモとauより1つ多い選択肢を持てることは、ソフトバンクの強みになりそうだ。
SIMフリー市場に与える影響は?
日本では5s以降のiPhoneはSIMロックフリーモデルが発売されており、iPhone SEでもSIMロックフリーモデルが日本で売られる可能性が高い。現在、日本で販売されているSIMロックフリースマホは5型〜6型が中心で、4型以下の現行モデルはエイサーの「Liquid Z330」(4.5型)、FREETELの「priori3 LTE」(4.5型)、UPQの「UPQ Phone A01X」(4.5型)などに限られる。
上記3機種はいずれも1万円台のローエンドクラスであり、「スペックが高い小型のSIMロックフリースマホ」となると、iPhone 5sが該当するくらいで、なかなか見当たらない。MMD研究所の調査からも、4型のiPhoneを求める層はまだ多いことが分かるが、価格が6万〜7万円台なら、毎月の割引がある通信キャリアのモデルを買った方が断然お得だ。
また、ドコモが発売する端末なら、ドコモ回線を使ったMVNOのSIMカードはSIMロックを解除せずに利用できるだろうし、iPhone 6s/6s Plusと同様、3キャリアのiPhone SEも購入から半年後にSIMロックの解除が可能になる(はず)。このように、SIMロックフリーモデルのメリットが薄いことから、iPhone SEに、SIMロックフリー端末の勢力図を塗り替えるほどの影響力はないだろう。
逆に、iPhone SEがスペックを抑えて価格が2万〜3万円程度まで安くなるなら、SIMロックフリーでも大いに売れそうだが、22日の発表会の“主役”がローエンドモデルになる可能性は、極めて低いだろう。
まとめると、製品名は「iPhone SE」である可能性が高く、4型ディスプレイと3D Touch以外のスペックはiPhone 6s相当、価格は6万〜7万円、SIMロックフリーモデルも出るがあまり売れなさそう、といったところ。発表会の様子はAppleの特設サイトから視聴できるので、楽しみに待ちたい。
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