これからのAIの話をしよう(人狼編)
「人工知能はうそをつく」 常識疑う力を 人狼AI研究者が描く未来(3/3 ページ)
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
ディープラーニングは万能じゃない?
*鳥海准教授 ディープラーニングの本来の目的である「自動的に特徴量を抽出すること」*は「人狼に勝つこと」そのものには向いてないと思います。そもそも勝つための道筋が決まってないので、戦術的な所ではあまり使える場面は多くないんじゃないかと思います。
不完全情報ゲームという所だけにフォーカスするとディープラーニングで「AlphaZero」みたいに強くなるのかもしれませんが、そこには興味がないです。人狼知能プロジェクトでは「強い」より「面白い」を目指しているので。
―― 「面白いAI」とはどんなものですか。
*鳥海准教授* なかなか難しいのですが、まず「面白いプレイとは何なのか」を考えます。圧勝する、大逆転がある、華麗なプレイをするなど、いくつかパターンがありますよね。
そして、人狼というゲーム自体の面白さとは何なのか。相手をだます、自分の推理が当たる、相手を信じたり説得したりする、実は「きれいにだまされること」も人間は結構好きなんじゃないかとか。人を楽しませるAIを研究することは、人間を知ることにもつながります。
―― 人間が「面白さ」や「楽しさ」を感じる理由を分析している。
*鳥海准教授 少なくとも、これはディープラーニングとは全然違う種類のAIの話。私はそもそも「ディープラーニングは人工知能なのか?」*と思っていて。名前は人工知能だけれど、知能じゃなくて高度な機械学習ですよね。“真の人工知能とは何なのか”というのは難しい問題。
―― 今は、「AlphaZero」などが話題になったこともあり、人工知能=ディープラーニングという文脈で語られることも多いです。
*鳥海准教授* 人工知能=ディープラーニングみたいになるとちょっと違うなと。今のAIは狭い所に落とし込まれている感じがあるので、そことは違う方向性があるというのをもっと広い視点で捉えてもらうといいかなと思います。
―― では、ディープラーニングが使える場面はあったりしますか。
*鳥海准教授* 人狼の場合、対面でプレイするときに人間の表情や話者の認識などに使えそうです。音声認識、自然言語処理、会話文の生成といった所には使われてくると思います。世の中的にも、ディープラーニングを中心とした今の技術が発展していくことで、自動運転車だったりいろいろな所で役に立っていきます。
それって本当にAIなの?
―― 今のAIブームについて思うことはありますか。
*鳥海准教授* よくドラえもんみたいな「強いAI」(人間のように知性や自分の意思を持つAI)について議論されますが、リニアモーターカーもできたし、そろそろ「どこでもドア」について議論しようぜって言ってるような気がしてならない(笑)。
―― AIへの理解度が人によってまちまちなので、話が飛躍してしまうこともあります。
*鳥海准教授 AIは皆さんが怖がっているような、世界を滅ぼすとかそういうものではないです。*今、世間で言われているようなものって本当に人工知能なのかなと結構疑問に思っている人はいますね。高度に見えるとAIだけど、慣れてくると「自動化」と言われたり。
―― ニュースを見ても、毎日AIや人工知能という単語を目にします。
*鳥海准教授* 「自動ブレーキ」が良い例で、ちょっと前だったら「AIブレーキ」なんて言っていたのかなとか。AI搭載をうたう家電も、例えば温度を測ってフィードバックをかけてるだけの炊飯器などはAIとは言えません。
研究者たちは、あと2年くらいしたらまた(AIの)冬の時代が来ると言ってます(笑)。リニアモーターカーも日常になると目新しさがなくなり、未来の技術じゃなくなるので。ちょっと前だと「ビッグデータ」がそんな扱いでしたよね。
── AIがどんどん発展していき、いずれ私たちにとって当たり前の存在になっていくと。AIと一緒に人狼をプレイできる日を楽しみにしています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
これからのAIの話をしよう
いま話題のAI(人工知能)には何ができて、私たちの生活に一体どのような影響をもたらすのか。AI研究からビジネス活用まで、さまざまな分野の専門家たちにAIを取り巻く現状を聞いていく。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
Google、プライバシーポリシーに「Gmail」「Googleフォト」のデータを広告に使う例外を追加 回避方法は
-
2
「年齢は合ってますが、人間ではありません」 6歳の飼い猫に届いた“進研ゼミの案内” なぜ届いたのかベネッセに聞いた
-
3
「5年でバッテリーが使い物にならなくなる」は本当か テスラ「モデル3」5年目点検で分かったこと
-
4
GMO熊谷代表「社内ホワイトハッカーが事前に指摘」も対策遅れ、国に「能動的サイバー防御」要請 「責任転嫁では」SNSで批判も
-
5
グッスマに不正アクセス、公式EC閉鎖 会員の住所や注文履歴など漏えいか 再開目処立たず
-
6
ジョーシンへの不正アクセス、最大623万件漏えいか 運転免許証2件・マイナカード1件なども
-
7
野村総研、サイバー攻撃時の「能動的なシステム停止」を支援する新サービス
-
8
タイムズカー流出で顧客らが損害賠償求め運営会社提訴へ サイト開設の弁護士が記者会見
-
9
Xの「いいね」長押しで1ドル送金 マスク氏が“投げ銭”機能を予告
-
10
たばこ休憩なき時代の“一服”をどう取るか 温熱と“聞こえない音”で休む、JT子会社のアイマスクを試す
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR