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Banias開発者に聞く、Intelの次世代省電力CPU技術IDF Fall 2005(2/2 ページ)

» 2005年08月29日 11時26分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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ITmedia Meromでは64ビット命令(EM64T)もサポートしなければなりません。整数の実行ユニットは完全に64ビット化されるのでしょうか? ほとんどが32ビット処理という中で、64ビット命令のためだけに実行ユニットの幅が増えるというのも、省電力アーキテクチャの中では無駄のように思えます。例えばデスクトップやサーバ向けの製品と、64ビット命令の扱いが異なるのかもしれません。では、ConroeとMeromの64ビット命令のスループットは同じとなるのでしょうか?

エデン氏 「両者のスループットは同じです。両者の64ビット処理に関しては何も違いはありません」

ITmedia YonahとMeromは同じデュアルプロセッサですね。しかしオッテリーニ氏が行った基調講演のグラフを見ると、YonahとMeromの電力あたりパフォーマンスは1.5倍。消費電力が不明なため単純な比較はできませんが、パイプラインに同時に流れる命令数がYonahよりも多い事は間違いないでしょう。YonahとMeromではどの程度、パイプラインに充填される命令数は違うのですか?

エデン氏 「ははは(笑)それは言えない。言えないよ。ただ、プロセッサの進化という面では、YonahからMeromよりもDothanからYonahの方が大きなものになります」

ITmedia 当初、YonahはBaniasのアーキテクチャを元にデュアルコア化を行い、その際に発生するさまざまな問題に対処したものと予想しました。このためマイクロアーキテクチャの進化という面ではMeromが本命と見ていました。日本の読者もそうした認識をしている人が多いと思います。

エデン氏 「すべてのプロセッサのマイクロアーキテクチャは、それぞれが全く異なる設計です。実行ユニットの数やパイプラインの構成、インタフェースやキャッシュの構成だけを見れば、大まかには同じといった側面も探せるでしょう。しかしプロセッサのアーキテクチャは、それだけでは判断できるわけではありません。Yonahに関しては、キャッシュシステムに大きな違いが違いがありますし、メモリシステムも再デザインされています。パフォーマンスや消費電力はこれらによって大きく変わってきますし、デュアルコアであることは、それだけで大きな違いを生みます」

 「Pentium IIIに対するBaniasの進化に対してDothanが同程度進化しているとすると、DothanからYonahへの進化はその数倍もの大きな差があります。YonahからMeromの進化も決して小さくはありませんが、DothanからYonahへの変化ほど大きなものではありません」

ITmedia そのYonahには小型ノートPC向けにシングルコア専用マスクが用意され、超低電圧版だけが異なるダイ設計になるとエデン氏自身が説明していました。ではMeromにも同様のシングルコア専用マスクが用意されるのでしょうか?

エデン氏 「それはOEMの要求によって変わることです。ノートPCを開発するベンダーが、シングルコア専用版が欲しい、それでなければ作れない製品があるならば、我々はそのスペックを満たす製品を提供するでしょう。シングルコアか否かが問題ではなく、小型ノートPCに求められるものがどうなるか? に依存します」

ITmedia YonahとMeromは同じ65ナノメートルプロセスで製造されます。両者のリーク電流は回路規模が増えた分だけ増加すると思われますが、どのような対策を行っているのですか?

エデン氏 「確かにリーク電流に関する事情は両者で同じですが、デザインのテクニックでこれを減少させることはできます。どのような工夫を行っているかは明らかにできませんが、我々はMeromのリーク電流をYonahよりも小さくできると考えています」

ITmedia Meromの世代では同じアーキテクチャをデスクトップやサーバにも展開しますが、Yonahは高密度配置が必要なサーバ向けにアレンジしたSossamanしか提供されず、デスクトップPCには展開しません。これはアーキテクチャ上の問題なのですか? それとも単純に時間の問題なのですか。

エデン氏 「理由は2つあります。まず、日本のOEM先を中心にPentium MをデスクトップPCにも使いたいという要求が多かったのです。そこでYonahをデスクトップPCでも使えるようにバリデーションなどの準備をしました。もうひとつは開発スケジュールの関係です。「Sossaman」(Yonahと同じアーキテクチャのサーバ向けプロセッサ)ではサポートするメモリ容量などのアレンジを行っていますが、同様にデスクトップPC向けのアレンジまでは行う事ができませんでした。そこでYonahの世代ではモバイル向けのアーキテクチャがそのまま小型デスクトップPC向けにも使われます」



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