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「そして時は動き始めた」──そんな2005年だったかな(2/4 ページ)

» 2005年12月28日 16時49分 公開
[小林伸也 岡田有花,ITmedia]

 あのころ、今は忘れ去られた山師たちが「ドットコム」だのといった魔法の杖を振り、怪しげなサービスをぶち上げては小銭を稼いで消えていったのを思い出す。「Web 2.0」という言葉自体が「とりあえず言っときゃいいんだろ」的なマジックワードに堕していくのは実はどうでもいいことだとして、「Web 2.0」なるコンセプトが目指すWeb世界を本気で考え抜こうとしている人や組織、ちょっと明日が楽しくなるようなアイデアにこそ今は期待をかけてみたい。

 「通信と放送の融合」も今年を表す言葉の1つ。台風の目になったライブドアや楽天のように、ネットバブルの荒波をくぐり抜けてサヴァイヴした企業が強力さを発揮した1年だったとも思う。

 派手な上記2社に比べると地味ながら、大きな存在感を見せたのがインデックスだ。タカラとトミーの合併を実現した黒子を演じたかと思えば、民放テレビ局との資本提携で巨額資金を調達してみせた。最近のニュースリリースでは「従来から友好的にTV放送とケータイの融合について取り組んできましたが」と前置きするなど、「融合」を半ば敵対的に迫った2社との違いを強調する「ネット企業の優等生」だ。1セグ放送のスタートは来春に迫り、インデックスが当面、テレビとネットの連携の中心になりそうだ。

photo 左からインデックスの落合正美会長、トミーの富山幹太郎社長、タカラの佐藤慶太会長

 「ビッダーズ」を運営するディー・エヌ・エーやオールアバウト、カブドットコム証券といったネットバブル生き残り組の株式公開が相次いだのも今年。5年後の優良企業に育つ種は、「Web 2.0」の喧騒のどこかに芽生え始めているのかもしれない。

Googleの年だった

 今年、インターネット技術の話題の中心にはいつもGoogleがいた。Googleの年だったと思う。

 9月に日本語版がリリースされた画像管理ソフト「Picasa」や「Google Earth」は基本的に無料で利用でき、APIを惜しげもなく開放していくモデルにはMicrosoftやYahoo!が追随。書籍検索サービス「Google Book Search」は物議を醸し、Web解析サービスを無償化したらあまりの人気にトラブルが発生。パワーアップした日本語電卓のように、ちょっと便利なサービスも加わった。

photo Google Moon」も公開

 まだ20世紀だったころ、「シンプルながらずば抜けて頭がいい検索」と知る人ぞ知る存在だったGoogle。今やAOL争奪戦でMicrosoftらに競り勝ち、時価総額でIBMを上回る企業に成長した。「Google八分」や「AdSense拒否」などを除き、これといった悪口らしい悪口が聞こえてこない珍しいネット企業でもある。来年も、日本への波及も含めてGoogleに注目していくしかないだろう。

眺めのいい窓

 「Windows Vista」──かねてより「Longhorn」と呼ばれていた次期Windowsの正式名称が決まりβ版も配布された。Vistaとは「眺望」といった意味。2006年末までには同OSを入手できるようになり、新しい眺めを見せてくれるはずだ。

 新ユーザーインタフェース「Aero Grass」などは「カッコいいんじゃないの」とそれなりに評判はいいようだが、フルに能力を発揮させるには相当なハイスペックが要求されるようだ。いま現在、新しいOSがPCの需要をどれだけ刺激できるのか、も来年は試されよう。

 VistaはWindowsの日本語環境も大きく変え、常用漢字表にない「表外漢字」の正字体が打ち出せるようになる。OSレベルでOpenTypeをサポートし、Vistaに搭載される新フォント「Meiryo」も楽しみだ。

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