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「そして時は動き始めた」──そんな2005年だったかな(1/4 ページ)

» 2005年12月28日 16時49分 公開
[小林伸也 岡田有花,ITmedia]

 「ひと皮むけた」とまとめた2004年を引き継ぎ、今年は脱皮した人や組織が融合を迫ったり躍進したりで元気だった。現場の担当者としては忙しい1年だったが、実は来年以降の準備体操が始まっただけなのかもしれない──とも思った2005年を振り返った。

ネット企業との“融合”を拒否するテレビ局

 「通信と放送の融合」に向けての動きが、今年になって本格化した。フジテレビジョンの筆頭株主だったニッポン放送の株式をライブドアが2月に大量取得。フジサンケイグループに業務・資本提携を迫った。

photo 堀江社長

 ライブドア側が株式を買い進める一方、フジ側は買収防衛策を発動。法廷闘争に発展した挙げ句、3月に突如、ソフトバンク・インベストメント(SBI)がニッポン放送保有のフジテレビ株を借り受けてフジの筆頭株主に。これをきっかけにライブドアとフジは和解した。

 ライブドアの後を追うように楽天は10月、東京放送(TBS)株式の15.5%を取得して筆頭株主に。19%まで買い進めてTBSに経営統合を迫ったが、TBSは統合提案を拒否する意向と報じられ、楽天が譲歩する形で11月に和解した。

photo 三木谷社長

 ライブドア−フジ、楽天−TBSはそれぞれ、和解の際に業務提携を行うことを決めている。フジはライブドアの公衆無線LANサービスでニュースの原稿送信を行うなど地味な提携を発表しているが、楽天−TBSにはまだ具体的な動きが見えない。通信と放送は、買収という外科手術だけではなかなか融合しないようだ。

GyaO躍進――買収合戦の水面下で“融合”は進む

 派手な買収劇を横目に、着実にテレビの領域を侵食しているのが、4月にスタートしたUSENの無料ネット放送「GyaO」だ。番組間にCMを挟み込むという、テレビと同じビジネスモデル。人気アニメや音楽ライブの生中継など魅力的なコンテンツをそろえ、テレビなどマス媒体で積極的に宣伝した結果、登録者数は12月に500万人を突破した。現状の収支は赤字というが、ユーザー属性別に異なる広告を配信するサービスを来年から本格展開するなど、ネットならではのビジネスモデルで躍進を狙う。

photo

 テレビ局買収劇で沈黙を守っていたソフトバンクも、GyaOと同様な広告モデルの無料ネット放送「TV Bank」の実証実験を10月にスタート。テレビ局の協力を得て「Yahoo!動画」のコンテンツも大幅に拡充していくと発表した

 テレビ局側もネット対応を急ぐ。フジ、日本テレビ放送網、TBSは相次いで番組のビデオ・オン・デマンド(VOD)配信を発表。ネットの動画配信は来年以降一気に加速しそうな気配だ。

ITサヴァイヴァー

 何年も編集部でIT業界を眺めていると、ニュースの数や質で業界の景気もある程度は分かるようになる。2005年は明らかに景気が上向きだった。

 景気が良くなると、新しいサービスが次々に登場してくるのも経験則通り。とりあえず「Web 2.0」なる言葉が今回の動きの一端を象徴していそうだが、「事業はWeb 2.0サービス」と微妙に意味不明な自己紹介を目にしたり、メディアがある種の空騒ぎを自ら演じてしまう事態に陥っているのを見るにつけ、空前の好景気に沸いた2000年ごろ──ネットバブル期──の雰囲気に似ているようにも思う。

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