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「そして時は動き始めた」──そんな2005年だったかな(3/4 ページ)

» 2005年12月28日 16時49分 公開
[小林伸也 岡田有花,ITmedia]

AMDが勢力拡大、IntelはついにMacに進出

 x86プロセッサでは、AMDの攻勢が目立った。SunがOpteronサーバを発売し、AMDの悲願だったエンタープライズ分野でのシェア拡大を進めている。東京工業大学が構築する日本最速のグリッドにも採用が決まった。10月には、米小売りPC市場でIntelを抜いた

 AMDはIntelに「デュアルコア対決の果たし状」を叩きつけ、その広告ではOpteronがボクシングリングでIntelを待つイラストを掲載した。一方、Intelに対し米国や日本で損害賠償を求める訴訟を起こし、リング場外でも対決姿勢を強めている。

 対するIntelは、「ありそうなネタ話」として浮かんでは消えてきた「Pentium Mac」をついに実現させた。AppleとIntelの「30年にわたる数奇な関係」を思えば感慨深い。最初のCentrino搭載PowerBookは2006年早々のMacworldで披露されるかもしれない

 Intelは2006年、3代目Centrinoとなる「Napa」とデジタルホームPCプラットフォーム「Viiv」を大々的に立ち上げる計画だ。

Winnyによる機密情報流出、止まず

 4月に全面施行された個人情報保護法にのっとって各社が監視を強化した影響もあり、情報流出関連のニュースも絶えなかった。Winnyのウイルスに感染したPCからの流出が今年も相次ぎ、地方自治体小学校進学塾からも個人情報が流出したほか、原発情報の流出も相次いで報じられた(関連記事参照)

photo 情報流出の謝罪会見

 米国では、トロイの木馬と見られる悪質なプログラムにより4000万人規模の大規模なクレジットカード情報流出が起き、国内各社も対応に追われた

 楽天市場とビッダーズに出店している店舗からもカード情報が流出。原因は店舗スタッフの情報持ち出しと見られており、楽天は、カード番号を店舗に渡さない仕組みを取り入れることで再発を防ぐとしたが、店舗側からは「拙速」などと不満が広がった

不正アクセスの波紋

 「最高レベルのセキュリティーが破られた」――カカクコムのWebサイトが不正侵入にあい、閲覧者にウイルスをばらまいた上、ユーザーのメールアドレスが流出した問題で、同社は「できる限りの対策をしていた。過失はない」との一点張り。侵入の手口も明らかにしなかった。業界関係者からは「情報が明らかにされないと、同様な被害を防ぐ方法も分からない」などと不満の声が上がった

 カカクコム侵入の手口はSQLインジェクションによるものと一部で報じられ、アデコのサイトや「Windows CE FAN」など複数のサイトが同様の手口で被害に遭っている。

 不正アクセスは、脆弱性指摘が目的でも有罪――コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)の個人情報流出事件で、不正アクセス禁止法違反で起訴された元京都大学研究員に、懲役8カ月、執行猶予3年(求刑・懲役8カ月)の判決が言い渡された。裁判官は元研究員の行為を「技術を誇示するための犯行」と判断。担当弁護士は「アクセス行為そのものよりは、その後の行為に引きずられた判決」と話している。

知財訴訟、クロスライセンスで終息に

 4月に知的財産高裁が発足し、知財への関心がこれまで以上に高まった。デジタル機器関連では、不毛な特許紛争の繰り返しから抜け出し、激化する開発競争を生き抜くため、紛争相手とクロスライセンス契約を結ぶ動きが目立った。

 ソニーとサムスン電子が昨年末に締結したデジタル機器開発関連の包括的なクロスライセンス契約に続き、松下電器産業と韓国LG電子がPDP特許に関してクロスライセンスを締結。シャープは、PC向けパネルの特許に関して、台湾AUOとクロスライセンス契約を結んだ

 ジャストシステムの「一太郎」「花子」のヘルプ表示機能が松下のワープロ用技術の特許を侵害しているとして、両ソフトの製造販売中止が命じられた判決には衝撃が広がり、ソフトウェア特許の是非を含めて議論となった。控訴審ではジャストが逆転勝訴。知財高裁は「技術に新奇性がない」などとし、松下の特許自体の無効を指摘した。同訴訟は、知財高裁発足初となる裁判官5人による大合議で審理された。

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