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米政府の通話記録収集にプライバシー擁護団体が怒り

» 2006年05月12日 15時21分 公開
[Wayne Rash,eWEEK]
eWEEK

 米国家安全保障局(NSA)が米国内の大量の電話通話記録を収集しているとのニュースが5月11日に報じられ、プライバシー擁護団体が怒りをあらわにしている。

 USA TODAY紙は、NSAがAT&T、BellSouth、Verizonから提供された電話の通話記録を収集していると報じた

 ワシントンD.C.に本拠を置くプライバシー擁護団体Electronic Privacy Information Center(EPIC)の事務局長兼エグゼクティブディレクター、マーク・ローテンバーグ氏は、「私たちの多くが、NSAが法を犯しだしたと感じ始めている」と5月11日eWEEKに語った。

 このようなデータ収集はNSAがなすべきことではない、と同氏は強調した。

 「これは、『米国内における監視プログラムは主にアルカイダをターゲットとしている』とするヘイデン空軍大将の発言と明らかに矛盾する」とローテンバーグ氏。通話記録の収集が開始されたと言われる当時のNSA局長だったヘイデン氏は、現在、中央情報局(CIA)長官の候補に名が上がっている。

 米連邦議会では来週、国内における監視行為についてヘイデン氏に質問を行う予定。

 USA TODAYの記事によると、BellSouth、AT&T、Verizon、SBCの各社がNSAに協力することに合意したのに対し、Qwestはこれを拒否。AT&TとSBCはその後合併し、新生「AT&T」の下で運営されている。

 NSAは収集した通話記録を1つの巨大なデータベースにまとめていると報じられているが、通話内容は記録されていないもよう。しかしながら、このデータベースは単に犯罪やテロ関連の容疑者だけでなく、何億もの米国民による通話記録を網羅するものだと伝えられていることから、深刻な懸念が生じつつある。

 ローテンバーグ氏は、多くの国民がNSAが収集している情報について不安を抱いているかもしれないが、問題はこれにとどまらないと指摘する。「『不安』というよりも『怒り』がより適切だろう」(同氏)

 「私たちは皆、9.11同時多発テロによってさまざまなことが変わったと認識しているが、憲法を無効にすることに同意した覚えはない。政府高官らは、遵守する法律、無視する法律を決定したなら説明責任を負うべきだ」

 ホワイトハウスは最近、不審なテロ活動を監視する目的で、米国と外国間における電話の通話記録の傍受を承認したことを認めた。しかしこの時、NSAによる米国内の通話傍受を認める発言はなかった。

 この件に関してeWEEKがコメントを求めたところ、NSA広報官ドン・ウェーバー氏は、あらかじめ準備したリリース文の中で次のように述べた。「当局の仕事の性質上、実際あるいは伝えられている運営内容についてコメントすることは無責任と考える。従って当局から提供する情報はない。しかしながら、NSAが自身の法的責任を真剣に受け止め、法律の認める範囲内で活動していることを特記しておくことは重要だ」

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