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2007年もノートPCが躍進――売上高でデスクトップ超えの見通し(1/2 ページ)

» 2006年12月21日 17時36分 公開
[Scott Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 過去5年間、業界観測筋やIT専門家は、PC市場におけるノートPCのシェア拡大を目の当たりにしてきた。企業ユーザーや消費者がPCのモビリティや柔軟性の向上を求めるようになり、家庭や職場に長年定着していた従来のデスクトップPCの人気が落ちていることが背景にある。

 ただ、企業ではまだ、ノートPCの価格の高さや性能の制約が敬遠されており、デスクトップPCの利用が依然として主流となっている。

 しかし、ノートPCは2007年には、Hewlett-Packard(HP)やDell、Lenovoといった大手PCメーカーにとって、デスクトップPCより大きな収入源になりそうだ。

 このPC市場の大転換は、Merrill Lynchの上級アナリスト、リチャード・ファーマー氏が12月5日付で作成した投資家向け金融リポートで、いち早く、しかしさりげなく指摘されている。このリポートはCIOの活動と、MicrosoftのWindows Vistaのリリースに焦点を当てたものだが、ファーマー氏は調査数字を掘り下げて分析し、PC市場では2007年以降、ノートPCの売上高の割合がデスクトップPCを上回るだろうと述べている。

 2006年のPC全体の売上高に占めるデスクトップPCの割合は47%、ノートPCの割合は41.6%と予想されている。ファーマー氏の推計によると、2007年にはこれらの数字がほぼ逆転し、ノートPCの割合が45.6%、デスクトップPCが43.1%となるという。

 さらに、2008年にはノートPCがPCの全売上高の50%近くを占め、デスクトップPCは40%程度を占めるにとどまる見通しだ。比較のために2000年の数字を見ると、Merrill Lynchの報告では、PC市場におけるノートPCの売上高シェアは約25%にすぎず、デスクトップPCが64%と圧倒的に大きなシェアを占めていた。

 ファーマー氏は同氏のリポートで、こうした変化が起こる理由を説明していない。だがIDCのアナリスト、リチャード・シム氏も、市場ではしばらく前から、デスクトップPCよりもノートPC、そしてモビリティ機能全般が支持されていると見ている。

 「市場はこうした方向に向かっている」とシム氏。「いずれはノートPCの出荷台数もデスクトップPCを上回るだろう。それは時間の問題だ。興味深いのは、それがいつになるかだ」

 ノートPCの売上高シェアが拡大している一因は、メーカーがノートPCで設定できる利幅が大きいことにある。Merrill Lynchの分析では、2007年のノートPCの平均価格は1083ドル、デスクトップPCの平均価格は767ドルになると推計されている。

 ノートPCはPCの出荷台数に占める割合も大きくなってきている。Merrill Lynchによると、2000年には、PC市場におけるノートPCの出荷台数シェアは18.7%だった。現在、この数字は36%に上昇しており、2008年には44%に達する見通しだ。

 一方、シム氏は、ノートPCの出荷台数がデスクトップPCを上回るのは、2008年末か2009年になるだろうと予測している。さらに同氏は、この変化は北米や西欧などの成熟市場で始まる可能性が高いと付け加える。

 ファーマー氏がリポートで指摘した傾向は、調査会社Gartnerの調査結果と一致している。Gartnerの調査では、ノートPCの売上高がデスクトップPCよりも多くなるという同様の傾向が指摘されていると、同社のアナリスト、レスリー・フィアリング氏は話している。

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