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Appleが調査報告書を提出、ジョブズCEOへの疑惑を払拭

» 2006年12月31日 23時57分 公開
[Scott Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 Apple Computerは2週間遅れで第3四半期の財務報告を米証券取引委員会(SEC)に提出するとともに、ストックオプション付与のために利益の一部を修正すると発表した。

 12月29日にSECに提出された書類の中でAppleは、スティーブ・ジョブズCEOは、捜査に結びついた有利な株式付与の一部については認識しているが、これらの株式付与から利益や財務的利得を受けていないと述べている。

 声明の中で、内部で設置された委員会はストックオプション付与について調査を行ったが、ジョブズ氏と上級経営陣について潔白であると確信すると表明している。

 「特設の委員会、独立の弁護士、法廷会計士はAppleのストックオプション付与の慣習について徹底的な調査を行った」と特設委員会の議長であるアル・ゴア氏とApple会計監査財務委員会の議長であるジェローム・ヨーク氏は共同声明を出した。

 「取締役会はAppleが再度発表することになった問題を修正したこと、そしてスティーブ・ジョブズ氏と上級経営陣が完全に信頼できるという点で自信を持っている」とこの声明は述べている。

 10月4日、Appleは1997年から2002年にかけて幹部への株式付与に関する不正行為が見つかったとの内部調査結果を発表した。

 この報告が発表された後、Appleの最高財務責任者であったフレッド・アンダーソン氏が取締役会から退任し、ジョブズ氏は謝罪を明らかにした。

 12月29日の発表で、Appleは調査結果をSECおよび連邦検察官に提出すると表明。内部調査では1996年10月から2003年1月まで259人に付与された4万2077株のストックオプションに関して精査された。SECへの提出書類によれば、費やした時間は2万6500時間。100万枚の文書を調査し、40人への聞き込み調査が行われた。

 SECへの提出書類によれば、Appleは税引き後利益を2006年度は400万ドル、2005年度には700万ドル、2004年度には1000万ドル修正するとしている。

 さらにAppleは、税引き後8400万ドルの非現金の株式報酬を費用計上するとしている。

 法曹業界紙であるThe Recorderは、米国政府当局が「偽造されたように考えられる」ストックオプション書類について査察を行うと報道し、Appleは1週間にわたって綿密な調査を受けていた。

 この記事だけではなく、Appleがジョブズ氏に数百万ドル相当のストックオプションを取締役会の承認なしに与えていたとするFinancial Timesの記事も公開された。これらの記事により、同社の先週の株価は乱高下した。それでも金融アナリストのAppleとジョブズ氏への信頼は揺るがなかった。

 12月29日にPiper Jaffrayのアナリストであるジーン・マンスター氏は投資家に向けたリポートの中で、2006年にiPod音楽プレーヤーとMacintoshラインのノートPCおよびデスクトップ機で大きな飛躍を遂げたAppleの財務基盤はしっかりしていると思われると書いている。

 「Appleは自社による調査、そして特設委員会による調査において現在の幹部による違法行為は見つからなかったと再度明言した。これはスティーブ・ジョブズ氏の退任につながるかもしれないという株主の不安をふき消すポジティブな要素だと、我々は考えている」とマンスター氏は述べている。

 SECはストックオプション付与に関するAppleの違法行為疑惑について正式にはコメントしていないが、マンスター氏は「SECが調査により得たものも、Appleの調査結果と整合性を持つものだと考えている」と説明している。

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