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2006年の国内PC出荷、Vista待ちでマイナス成長

» 2007年01月29日 18時13分 公開
[ITmedia]

 ガートナージャパンが1月29日に発表した、2006年の国内PC出荷台数統計によると、出荷台数は1364万台で、前年比3.6%減だった。個人需要の落ち込みが特に大きく、「Windows Vista」出荷前の買い控えなどが影響したとしている。

 個人市場の出荷台数は同8.0%減。2004年まで4年連続減少し、2005年にプラスに転じたが、2006年は再びマイナス成長となった

 Vista待ちに加え、地上デジタルテレビに需要を奪われたことや、地デジ搭載PCの商品の単価上昇したことなどが成長減速の要因とみられる。加えて、製品が消費者にとって魅力的な新しい要素に乏しいことや、ユーザーの二極化が進み、電子メールやネット閲覧以外は行わないユーザーにとってはPCの新規購入・買い換えを促す材料が見当たらないことなども、個人需要低迷の根底にあるとしている。

 法人市場は前年比0.2%減だった。大企業市場は買い替えサイクルの谷にあたって2ケタ減と大幅に落ち込んだが、中小企業市場はいまだ普及・買い替えの途上で2ケタ増。合計では前年並みにとどまった。

 メーカー別シェアはNEC、富士通、デル、東芝、ソニーの順で、順位は変わっていないが、NEC以外はシェアを伸ばした。

メーカー 2006年 2005年 -
- 順位 シェア 成長率 順位 シェア
NEC 1 20.0% -6.7% 1 20.7%
富士通 2 17.8% -2.4% 2 17.6%
デル 3 13.6% 14.5% 3 11.5%
東芝 4 10.2% 6.6% 4 9.2%
ソニー 5 6.6% 3.3% 5 6.2%
その他 - 31.9% -12.1% - 35.0%
合計 - 100.0% -3.6% - 100.0%

 NECは中小企業向けで伸びたが、大企業の需要低下で法人需要は微増にとどまった。個人市場は、市況悪化に加え、前年末に2006年春モデルを出荷開始した影響などで2けた減。上位5位中で唯一シェアを落とした。

 富士通は、法人市場は前年比微増で、個人市場はマイナス成長を1けたにとどめた。個人市場では、地デジチューナー搭載のデスクトップ製品で他社より値ごろなモデルを先駆けて出したことなどが貢献した。

 デルは上位5位ベンダーの中で唯一2けた成長した。価格競争でリードしたことに加え、防衛庁の大規模案件を受注したことが貢献した。ただ台数シェアよりも収益に重点を置く戦略に転換したことで、2006年第4半期は国内市場では同社初のマイナス成長となった。

 東芝は法人市場では前年並み。個人市場は低価格ノートPCに注力して需要を取り込み、2けた成長した。

 ソニーは出荷台数の8割を個人向けが占めているが、平均以上の伸びを示した。個人向けではディスプレイ一体型のデスクトップや超小型ノートなど他社にはないデザインの製品を投入したことや、法人向けには堅牢な軽量ノートPCなど特徴のあるPCを投入したことが貢献した。

 2007年にはWindows Vistaが一般向けに発売され、PCを買い控えていた個人ユーザーの需要増が期待されるほか、年後半には大企業の一部で買い替え需要増が期待できるため、出荷台数はプラス成長に転じる見込みだ。

 ただ現状のままではVista発売の影響は限定的。法人市場が本格的な買い替えサイクルにはいるのは2008年になるため、成長は1けた代の半ば程度にとどまるとみている。同社は「成長率をさらに上げるには、個人ユーザーに対して効果的な方法でVista搭載製品をアピールする、業界全体のより一層の努力が必要」とコメントしている。

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