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「『健全な場』が最後に勝つ」「ケータイはPC超える」「Androidはうさん臭い」ヤフー井上社長に聞く(4/4 ページ)

» 2007年11月26日 13時21分 公開
[岡田有花,ITmedia]
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画像 Yahoo!モバイルトップページ(EZweb向け)

 PCも、IBM PCが出るまでは同じ状態だった。IBM PCが出て基本技術の部分を公開したことで、すべてのPCプラットフォームが統一化され、1つのソフトウェアパッケージが全メーカーの機械で動くようになり、ネットのサービスも1つ作れば、富士通でもソニーでもIBMでもみんな使えるようになった。

 携帯も同じことが起こるべきだと思っている。そういう意味で言うと、Windows Mobileとか、GoogleのAndroidは歓迎すべき動きだと思っている。

 ただちょっとよく分からないのは、Androidが「無料です」と言ってるのがすごくうさん臭いなぁと。プラットフォームというのは、何十年も継続してくれないと困る。

 PCではIntelとMicrosoftがプラットフォームを作り、その間にお金もうけもしたけれど、営利事業としてやってくれたから継続する。特にメーカーからは「ちょっともうけすぎじゃないか」といううらみつらみもあるが、そのお陰でユーザーは恩恵を被った。

 Androidは「無料でやります」と言っているのがうさんくさい。ちゃんとお金を取ってやるべきじゃないかとぼくは思う。「何か後ろで悪いこと考えているんじゃないのか」と思うじゃないですか。

ヤフーはAPI公開で「多様性に対応」

―― オープン化という観点で言えば、ヤフーも2005年末からAPI公開を進めてきている

 ヤフーのサービスは、どんな人が見てもそれなりに使えるサービスを目指していっている。どの人が使っても100点ではないが、どの人が使っても0点ではない。

 利用者が多様になればなるほど、平均点・満足度は下がっていて、今はもしかしたら50点ぐらいになっているかもしれない。かといって、一定の利用者に合わせようと手を入れると、限りなく0点に近い人が出てきちゃう。それは避けたい。

 利用者のニーズが多様化して行く中で、そのニーズすべてにヤフーが応えるのは無理だと思う。その部分は、ヤフーがオープン化していく中で、パートナーの会社に作ってもらうといいんじゃないかと思う。

 するとAPIを公開して、例えば「20代の女性に特化した『Yahoo!ファイナンス』を作りたい」という人がいれば、作ってもらえる環境を整えたい。無料で使ってもらってもいいし、サーバをうちで出してもいい。

 APIを活用して作ってもらったサイトには、広告配信システムも必要だろう。それを独自でわざわざ作るのは、お金ばっかりかかって大変だから、ヤフーの広告システムも使ってもらえれば。広告システムなんか開発している余計な手間に、サービスの改善をもっとしてもらうといいんじゃないですか、と。

 課金のシステムも同じ。作ろうとすると何十億も、何カ月・何年もかかる。だったらうちのを使ってもらって手間とコストを省いて、いいサービスを作ってもらえればいいと思う。

 例えば20代女性にフォーカスする会社なら、広告・課金システムを作る間に、Yahoo!自動車やYahoo!ミュージックの20代女性向けを作るとか。同じリソースしかないのだから、そっちをやってもらったほうがいいんじゃないかと。

 サービスの切り分け方も、今はヤフーが勝手に決めているが、別々のAPIを組み合わせて新しいサービスを作り、新しい切り口を加えてもらえれば。例えばYahoo!ファイナンスとYahoo!音楽のAPIを使って新しいサービスを作る――とか。ヤフーのサービスと違うところで区切ってくれて構わない。

 そこで広告とか課金はヤフーのものを使ってもらって、そこで少し手数料なり分け前なり下さいね、という。

―― APIを開放することで、多様化したニーズすべてを満たしていきたいということか。

 ヤフーには、事業領域を広げていきたいという1つの目的がある。その一方で、裏方で働いていることが、すごくいっぱいあるので、なるべくみなさんに活用してもらい、もっと表側を活性化させてもらいたい。それによって、インターネット全体も活性化していくのではないか――というふうに思っている。

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