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» 2007年12月27日 12時31分 公開

「『ダウンロード違法化』阻止、まだチャンスある」――MIAUがシンポジウム (2/2)

[岡田有花,ITmedia]
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 「ダウンロードとストリーミングの違いは、情報の「複製先」の違いでしかなく、いくらでも組み替えられる。例えば、ダウンロード違法の法改正がなされた場合、すべてのダウンロードをストリーミングとして扱うソフトを作ることもできるだろう。だがそれが広まれば法律の解釈が『ストリーミングもダメ』というふうに変わることもあり得る」(斉藤さん)

 津田さんもこの区別の実効性に疑問を呈する。「小委員会で日本映画製作者連盟の華頂尚隆委員は『YouTubeをなんとかしたい』と漏らしていた。ストリーミングを除外したダウンロード違法化では、彼らにとっては足りない。また、今回は刑事罰もないが、権利者側は刑事罰も付けてほしいと思っているかもしれない」

 立法時の「ストリーミングは除外する」という文化庁の意志が、実際の法運用の段階で無視される可能性はあるだろうか。池田さんは「法律は、条文そのものはあいまいに書かれていて、政令・省令などで役所が都合がいいように解釈を変える」と指摘。小倉さんは、著作権法に貸与権が設定された当時、立法時の文化庁の意志が実務に覆された例を引く。

 「レコード会社には貸与権を1年間禁止する権利を与えたが、立法時の議論では『実際には行使しないだろう』という話になっていた。確かにその議論に参加した日本レコード協会などは行使しなかったが、洋楽では1年の禁止権がまるまる行使され、レコード協会に所属しないインディーズでも行使された」(小倉さん)

「録音・録画物に限る」ことも技術的には不可能

画像 斉藤さん

 斉藤さんは「録音・録画物に限る」という制限も、技術的に見ると無意味だと話す。「音なのか画像なのかはデジタルデータの解釈の違いでしかない。例えば、音をデジタルデータ化して画像として再生し、耳の聞こえない人に音楽の雰囲気を楽しんでもらう場合は、録音物と言えるのか」

 斉藤さんは前提として「情報は複製される(伝わる)ことによって初めて価値を生む。複製のされかたに制限をかけることは、価値の生まれ方に制限をかけること。デジタル化は複製を効率化し、価値を生まれやすくすること」と定義づけた上で、「ちょっと近視眼的すぎませんか?」と問題提起する。

 「私たちは、300年先の世界も考えてものごとを決めているでしょうか。私が子どもだったころの記録は白黒写真で残っているが、今の子どもたちの記録はブログやYouTubeで残っている。そういう人たちが活躍できる道を作るべき」

「DRMが普及し、補償金が不要になる未来」はありえるのか

 文化庁は小委員会で、「コンテンツの複製回数や条件を、DRMによって完全にコントロールできれば、補償金は不要になる」という前提に立ち、「20XX年にDRMが普及すれば補償金は不要になり、私的録音録画について定めた著作権法30条も不要になる」という可能性を提示した(関連記事参照)

 この案についても疑問が噴出した。斉藤さんは「すべてのDRMは解除可能だ」と話し、「そもそも、人間が回避したいと感じる技術は使われない」と、DRMという技術そのもののあり方について疑問を投げかける。

画像 津田さん

 津田さんも「現実問題として、DRMは破られる。例えば、台湾のペーパーカンパニーのようなところがDRMの規格作りに参加し、その後倒産してDRMの暗号解除法が漏れる、というケースもあると聞く。ハッキングやリバースエンジニアリングで破られることもある。Windows Media AudioのDRMも『強力で破られない』とされていたが、いとも簡単に破られた」と話す。

 小倉弁護士は「著作権は死後50年続く。亡くなった権利者からどうやってDRMを発行してもらうのか。また(私的録音録画の範囲について定めた)30条1項までなくすという文化庁の考え方だと、『法が家庭に入る』ということになる。つまり裁判所が家庭に介入し、PCの使い方の開示を求めたり、ひいてはノートの書き込みを見せろと言って、子どもが描いたドラえもんの絵も著作権侵害だ、ということになる」と指摘する。

 「DRMと契約でみんなが納得できる世界が来るれば、そのときに初めて移行すればいいが、『それはないな』と思う」(津田さん)

 なぜこういった方針が唐突に出てきたのか。津田さんは「『補償金について抜本的に見直すように』という知的財産戦略本部の意向を反映しようと中山主査(中山信弘・東京大学教授)が苦労した結果」と分析する。

 「現状では権利者・ユーザー側とも言いたいことを言うだけで妥結点が見えなかった。20XX年というSF的未来であっても、補償金がなくなるという方向で妥結するしか、『抜本的な見直し』の方法が見えなかったのだろう」(津田さん)

文化庁が暴走している?

 「文化庁が、総務省や経済産業省などの意向を無視して暴走している」と池田さんは言う。「レコード輸入権問題の際も、IPマルチキャストの扱いでも、文化庁は経済産業省など他省庁と意見が対立し、それを押し切って法改正した。現在総務省は、放送と通信の垣根を取り払い、放送通信政策を一体化して進めていこうとしているのに、文化庁だけはその2つを切り離したまま進めようとしている文化庁にこれ以上狂った政策を進めさせていいのか」(池田さん)

 ちなみに文化庁の力の源泉は「外圧」だという。「IBMが自社プログラムの特許権が切れる際に強力なロビー活動をし、プログラム著作権を認めさせたのが始まりではないか」(池田さん)

パブリックコメントのテンプレートの是非

 小委員会の中間整理に対するパブリックコメントは7500件と異例に多く集まり、うち8割の約6000通がダウンロード違法化に対する反対意見。うち7割、約4200通がMIAUなどがネットで公表したテンプレートをもとにしたものだった。

 テンプレートを公表したことについて津田さんは「賛否両論は予想していたが、賛成派にもテンプレートは多かったはず。それには言及しない(文化庁著作権課の)川瀬(真)さんは、ちょっと不公平では。レコード輸入権の時も、権利者側はテンプレートで動員をかけてきた」とこぼす。

 「テンプレートではない、自分の意見を寄せてくれた人も1200通もあった。MIAUの活動が、著作権問題に目を向けさせるきっかけになったのでは」(津田さん)

「違法コピーを禁止して何が悪い」に反論するために

画像 小寺さん

 「ダウンロード違法化」は、ネットに詳しくない人にとっては問題点が見えにくい。「確かに、違法コピーのダウンロードを違法化するのは当然、といわれると分かりやすく、そこで思考停止してしまう。問題点が分からない、という人も多い。ダウンロード違法化の立場からも、キャッチフレーズのようなものを作って、分かりやすい発信をしていく必要があるだろう」(AV機器評論家・コラムニストの小寺信良さん)

 またMIAUは「悪質な違法ダウンロードを助長する団体」と見られてしまうこともある。津田さんは「しょうがないと思う」と苦笑。小寺さんは「不買運動などで“殴り合い”をする時代ではない。例えばiTunes PlusのDRMフリー配信を利用したり、ニコニコ動画のMADがきっかけでPerfumeのCDが3000枚売れたっといったように、(著作権を保護しないことによる権利者へのメリットが分かる)事例を紹介していく必要も、方法論としてあるだろう」と話す。

 今後は、MIAUの各メンバーが知り合いの国会議員などに話をするなどロビー活動を行い、国会での法改正阻止に向けて動いていく。「レコード輸入権の時は閣議決定があってから民主党が反対を始めたので結局、無理だったが、今回はまだ時間がある」(池田さん)

 小倉さんはロビー活動の計画についてブログで公表しているが「年内は難しく、年明けに接触できそう」という状況という。「国会議員にアクセスある人はぜひ、訴えていってほしい」(小倉さん)

 ただ、現在の国会は著作権法とはまるで関係ない問題で紛糾しており「予算案以外の法案は提出するな、と各省庁に言われているとも聞く」(津田さん)といい、そもそも法案の提出自体が行われない可能性もあるという。

次は「ダビング10」でシンポジウム

 MIAUは今後も、シンポジウムなどを積極的に開いていく計画。来年早々には中間法人を設立し、「実行力のある団体にしたい」(津田さん)

 来年1月16日には、地上デジタル放送の「ダビング10」に関するシンポジウムも、都内で開く計画だ。

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