そこでAMDのGPU、Radeon HDシリーズには、UVD(Universal Video Decoder)という機能が標準で実装されている(一部モデルを除く)。「UVDを利用することで、MPGE4 AVCやVC-1といった新しい圧縮方式のビデオもCPUをほとんど利用せずに再生できるようになります」(土居氏)。
実際、同じHD DVDビデオを再生して、CPU使用率(CPUが全処理能力のうちどれだけを使っているか)を計測してみると、UVDが有効になっているかいないかで大きな違いがあることが分かる。グラフ1はUVDに対応しているRadeon HD 3870と、UVDに対応していないRadeon HD 2900 XTでMPEG-4 AVCで記録されたHD DVDビデオを再生した時のCPU使用率の推移だ。
CPU:Phenom 9900 エンジニアリングサンプル(2.6GHz)
マザーボード:ASUSTeK M3A32-MVP
メモリ:3GB
HDD:HGST HDT725050VLA
青線がUVDに対応したRadeon HD 3870、赤線がUVD未対応のRadeon HD 2900 XTだ。UVDに対応したRadeon HD 3870はほとんど10%前後のCPU使用率で、CPUをほとんど利用しないでHD DVDの再生ができていることが分かる。これに対してUVD未対応のRadeon HD 2900 XTでは30〜40%のCPU使用率でHD DVDの再生にCPUを多用していることが分かる。このテストは2008年の第1四半期にリリース予定のPhenom 9900という2.6GHzで動作するクアッドコアCPUのエンジニアリングサンプルで行っているが、仮にCPUがSempronのようなシングルコアCPUであれば、おそらくRadeon HD 2900 XTを利用した場合のCPU負荷率は100%に達してしまうだろう。そうなるとビデオ再生以外の処理ができないだけでなく、コマ落ちと呼ばれる再生できないフレームがでてきて、動画がスムーズに再生されない事態になってしまう。
このように、UVDを利用することで、MPEG-4 AVCやVC-1のコンテンツ再生時のCPU使用率を低く抑えられるので、ユーザーがストレスを感じることなく再生しながら編集するということも十分可能になる訳だ。
「民生機を利用した場合には、単純に保存しかできませんが、DVカメラとPCを利用すると、保存だけでなく編集、再生、配信までできるようになります。YouTubeがあれだけはやっているのも、動画を他の人に見せたいというニーズがあることの証明だと考えています」(土居氏)HDコンテンツを再生したり、編集したり、そしてそれをアップロードするという使い方はPCにしかできない使い方で、民生機に対するPCの優位点と言える。
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