マイクロソフトが「ニコニコメッセ」の普及に力を入れている。ニコニコメッセはWindows Live Messenger上で、ニコニコ動画の動画を共有できるサービスで、ドワンゴと共同で昨年9月に始めた。
プロモーションとしてニコ動で、3Dの初音ミクがマイクロソフト社内などをめぐってニコニコメッセの使用法を歌う「ニコニコメッセの歌」を昨年12月に公開(「公式やりすぎ」――初音ミクが歌う「ニコニコメッセの歌」人気)。この動画を使ったテレビCMも放送する(初音ミクがテレビCM登場 ニコ動番組「ニコ番YME」で)。
ニコニコメッセの利用数は非公開だが、ニコ動ユーザーのWindows Live Messenger利用率は「ニコニコメッセ提供前より数%向上した」(マイクロソフトWindows Live/Mobileグループの内河恵プロダクトマネージャー)という。
サービス発想のきっかけは、ニワンゴ取締役の西村博之(ひろゆき)氏とマイクロソフト社員との雑談。開発を担当したのは、ドワンゴが「2ちゃんねる」で行った求人に応募し、採用された技術者だ(2chねらーから人材募集 ドワンゴと応募者の“本心”)。
マイクロソフトは昨年春、Windows Live Messengerの広告企画にひろゆき氏を起用(MSの広告にひろゆき氏、動画で登場 「ニコ動」へ投稿もOK)。ひろゆき氏がWindows Live Messengerの活用法などを語る動画をニコ動などで公開した。
「Windows Live Messengerで直接ニコ動の動画が見られれば面白いのでは」――動画撮影時に雑談で、ひろゆき氏がこう話していたのがニコニコメッセ開発のきっかけだったという。
Windows Live MessengerのAPIを活用し、ドワンゴ第二開発部ソフトウェアエンジニアの齊藤宏多さんがほぼ1人で開発した。齊藤さんは2ちゃんねらー求人で採用された技術者で、普段はニコニコ動画全般の開発に関わっている。
開発期間は実質約2週間。マイクロソフトのスタッフとWindows Live Messengerで連絡を取りながら作ったという。内河プロダクトマネージャーは「ドワンゴは大きな企業なのに、ベンチャー企業のようにフットワークが良かった」と驚く。マイクロソフトGPD開発統括部の関根玲プログラムマネージャも「普通の会社ならAPIの仕様を確認しながらでないと作業が進まないのに、ドワンゴ側は『こういう問題が起きたけどこうやったらできちゃった』と、事後報告でスピーディーに作業を進めてくれた」と話す。
ドワンゴの齊藤さんは「事後報告ですみません」と恐縮しつつ「マイクロソフトといえば堅い企業というイメージだったが、次々に“ニコニコ的”なアイデアが飛んできた」と振り返った。
ニコニコ動画などを使ったPRは博報堂DYメディアパートナーズが担当。「社内の“ニコ厨”を集めてもらった精鋭チーム」(内河プロダクトマネージャー)で、初音ミクを起用した動画の企画も博報堂DYが提案した。「ミクが使えない場合はTHE IDOLM@STERで、それがダメならいさじで」というニコ厨ならではの企画提案もあったという。
「ニコニコメッセの歌」は昨年12月16日の公開から1カ月足らずで約12万回再生された。この動画を使ったテレビCMは1月10日から公開。「ニコ動もテレビCMしていないのに、ニコニコメッセでCMしてもらえるとは」とドワンゴのニコニコ事業本部企画開発部第三セクションの永野想リーダーは驚く。
チャット中に挟み込める短いメッセージ動画「ひとこと動画」も博報堂DYが企画。初音ミクが「オハヨ」と話す動画などを450本を「ニコニコメッセチャンネル」ですでに公開しており、今後600本以上に増やす予定だ。「当初は100本という約束だったのに頑張ってくれた」(マイクロソフトのマーケティングコミュニケーションズ上代晃久オンラインマーケティングマネージャー)と、こちらもノリノリで作られたようだ。
ニコニコメッセにはこのほど新機能を追加。これまでニコ動の動画再生ページからしか利用できなかったが、新たにWindows Live Messengerから起動できるようにしたほか、動画URLを入力するだけで再生できる機能などを追加した。
今後はニコ動とほかのWindows Liveサービスを連携させていく予定だ。
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