中国が「GhostNet」と呼ばれるサイバースパイネットワークを使ってチベット亡命政府やダライ・ラマに対するスパイ活動を展開している――。カナダ・トロント大学の研究者が3月30日、こんな論文を発表した。
論文によると、GhostNetは世界103カ国のハッキングされたコンピュータ1295台以上で構成される。この中にはダライ・ラマとチベット亡命政府のWebサイトのほか、各国外務省や大使館サイトも多数含まれるとされ、状況証拠から中国政府の関与をうかがわせる内容になっている。
英セキュリティ企業Sophosの研究者グラハム・クルーリー氏はブログでこの論文を紹介し、読み物としては面白いが、中国政府や人民解放軍が攻撃の背後にいることを証明する決定的証拠は何もないと指摘した。中国のコンピュータが攻撃に使われているというだけでは、中国政府が絡んでいるという根拠にはならないと同氏は言う。
クルーリー氏によれば、インターネットを使ったスパイ行為は政治的、商業的、軍事的動機から、各国が世界中で相互にやっていることだという。中国がインターネットを使ったスパイ活動を展開しているのは確かだが、それは米国、イスラエル、英国なども同じだと指摘した。
いずれにしても今回の論文からは、ウイルス対策技術、ファイアウォール、セキュリティパッチ、ネットワークアクセス制御、暗号などを使って自分の組織の防御を固めることの重要性が裏付けられたとクルーリー氏は締めくくっている。
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