IEEE(電気電子技術者学会)はこのほど、東京工業大学によるフェライトの発明と、TDKによるフェライトコアの工業化を、電気電子分野の歴史的業績をたたえる「IEEE マイルストーン」に認定した。認定は国内で10件目。
フェライトは鉄などの酸化物による磁性セラミック化合物で、1930年、東工大の電気化学科に在籍していた加藤与五郎博士と武井武博士が発明した。事業化を目指し、大学名と研究室名から名付けられた企業「東京電気化学工業」が1935年に創業。後にTDKとなり、大学発ベンチャーの先駆けともなった。
東工大と同社で研究を進め、コイルのコアとなるフェライトコアとして製品化。国産の無線機やラジオに使用され、第二次大戦終戦までに500万個を出荷した。その後、フェライトコアはテレビのブラウン管に使う偏向ヨークやトランスなどにさまざまに使われ、多くの電子機器に不可欠な重要部品となった。
東工大とTDKには、IEEEから認定を記念した銘板が贈られた。銘板は東工大百年記念館(大岡山キャンパス)とTDK歴史館(秋田県にかほ市)に常設展示するほか、10月20日まで、東工大百年記念館で記念展示「フェライトの80年」も行う。
IEEEマイルストーンはこれまで、ボルタの電池やHewlett-Packardの電卓など世界80件以上を認定。日本からはシャープの電卓や日本ビクターのVHSビデオ、東芝の日本語ワープロなどが認定されている。
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