Windows Mobile 6.xで現在動作中のスマートフォンは新しい「Windows Phone 7 Series」にアップグレードできないという報道が広く伝えられているが、米Microsoftではこの件に関して確答を避けている。
アジア・太平洋地域でMicrosoftのモバイル通信事業を担当するジェネラルマネジャー、ナターシャ・クワン氏は、3月1日付の「APC」誌の記事で「Windows Phone 7 Seriesには厳格な要件があるため、現在出回っている携帯電話はアップグレードできない」と語っている。さらに同記事によると、Windows Phone 7 Seriesのタッチ式インタフェースに対応すると思われるフルタッチスクリーンを搭載したスマートフォン「HTC HD2」も、3つではなく5つのボタンを備えているという理由で新OSへのアップグレード要件を満たさないという。
Microsoftは2月15日にスペインのバルセロナで行われた記者会見でWindows Phone 7 Seriesを発表した際に、ハードウェアメーカーの協力の下で端末のフォームファクターとしてボタンを3つ(Home、Search、Back)に限定するという方針を明らかにした。
しかしMicrosoftはその後、報道された同社幹部の発言を確認するのを拒んでいる。
Microsoftの広報担当者は、米eWEEKへの3月1日付の電子メールで「エンドユーザーと開発者にとって一貫性のある素晴らしいエクスペリエンスを実現するために、厳格なハードウェア要件を適用するつもりだ。これらの要件を満たすWM6.X(Windows Mobile 6.x)端末がアップグレード可能だと断言することはできない」と述べている。
2月16日には、Windows Phone 7 Seriesが今年(時期は未定)登場した時点で、MicrosoftはWindows Mobileを「Windows Phone Classic」というブランド名に変更するつもりではないかといううわさがネット上で流れた。Microsoftは名称変更の方針をロング・ゼング氏(「Istartedsomething」ブログの記者)に認めたようだが、eWEEKに対してはこの情報を認めようとしない。
Microsoft広報担当者は2月18日、「Windows Mobile 6.5のブランド変更について発表するものは何もない」と電子メールでeWEEKに回答した。
Windows Mobile 6.xを見捨てる、あるいはブランド名を変更するといったそぶりを少しでも見せると、同OSで動作する携帯端末の売れ行きが急減するのをMicrosoftは心配しているのかもしれない。Windows Phone 7 Seriesがデビューするのは年末近くになる見通しなので、こういった売り上げダウンはMicrosoftと同社の製造パートナーにとって痛手となる可能性がある。
しかしWindows Mobile 6.5の将来がどうなるかは、同スマートフォンOSを日常業務で利用している企業にとって依然として非常に重要な問題だ。Microsoftのスティーブ・バルマーCEOがバルセロナの記者会見で「Windows Phone 7 Seriesがリリースされた後も、Windows Mobile 6.5を引き続きサポートする」と保証したことで、これらの企業は少し安心したことだろうが、従来のWindows Mobile向けに作成されたアプリケーションがWindows Phone 7 Seriesに対応できるのかという疑問は残る。Microsoftは3月に開催する「MIX 10」カンファレンスで、Windows Phone 7 Seriesに関するさらに詳しい情報を明らかにする予定だ。
Windows Phone 7 Series用の開発プラットフォームをめぐる情報も漏れ伝わっている。「WMPoweruser」ブログは2月18日、リークしたとされるWindows Phone 7の開発ドキュメントを掲載した。その文書にはSilverlight、XNA、.NET Compact Frameworkに言及した記述があった。
さらにMicrosoftによると、Windows Phone 7 Series向けのアプリストアは、同OS搭載端末が登場する前に立ち上げられる予定だという。
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