韓国NHNの日本法人 NHN Japanは4月12日、ライブドアを子会社化すると発表した。ライブドアのユーザーやコンテンツを取り込み、傘下の検索サービス「NAVER」を強化する方針。ほかの事業でのシナジーも模索する。ライブドアの独立性は保ち、ブランドやサービスは存続させる。
ライブドア株は現在、LDHが99%、ライブドア取締役などが1%保有。NHN Japanは5月10日付けで、LDH保有分すべてを63億500万円で取得する。求人サイト運営のライブドアキャリアなどライブドア傘下の企業は、エイシスを除きNHN Japanの傘下に入る。
NHN Japanの森川亮社長によると、2009年末、LDHからNHN Japanにライブドアの売却提案があり、3月に行われたオークションにNHN Japanが応札し、同社による買収が決まった。
NHN Japanはゲームコミュニティー「ハンゲーム」(3月末時点の累計ID数3999万、09年12月期の売上高約120億円)を運営しているほか、100%子会社のネイバージャパンが昨年7月から、検索サービス「NAVER」を展開。NAVERは順調に成長しており、月間ユニークユーザー数は134万人(昨年12月時点)という。
ライブドア買収の最大の狙いはNAVERの強化。月間23億ページビュー、ユニークユーザー3000万人というライブドアポータルをグループに取り込み、NAVER成長につなげる。NAVERはロボット検索と人力による情報の編集を融合した“探し合う”検索、「サーチコミュニケーションプラットフォーム」の構築を掲げており、ライブドアが持つブログやWikiなど投稿型サービスのユーザーやコンテンツが、NAVERの検索精度向上に生きるとしている。
ライブドアの社名やlivedoorブランド、サービス、組織や役員は引き継ぎ、独立性も維持する方針。「サービスの清算などは一切ない」(森川社長)としており、ライブドアの成長に向けた投資も積極的に行う。livedoor IDとハンゲーム、NAVERのID統合なども、今のところ考えていないという。
ライブドアの出澤剛社長は「今回の資本移動はポジティブなもの」と強調する。「LDHは関与度が高い株主ではなく、法人としての係争もあった。資本移動でそういった面がクリアになり、プラスの部分を期待できる」
ライブドア事件から4年。これまでは「再建フェーズ」だったが、今後は「本格的な成長フェーズに移行する」という。「これまで4年は収益を重視した経営で、単体での売上高営業利益率は10%を超えている。今後は、短期的には収益が悪化しても、長期的成長につながるものを作っていきたい」
新サービスとして、地図情報とユーザー発信情報を融合した“ジオメディア”「folkat」や、ブログメディア「アゴラ」の電子書籍化、仮想サーバを柔軟に提供するクラウドサービス「ぽこぽこクラウド」などを投入予定。NAVERの検索技術の提供を受け、検索サービスの精度を向上させたり、NHNグループの海外拠点などを活用した海外展開も積極化していきたい考えだ。
LDHはNHN Japanに対しライブドア株式を63億500万円で売却する。NHN Japanへの売却に先立ち、ライブドア子会社のエイシス株式をLDHが19億円で取得し、ゲオに同額の19億円で売却する。
ライブドアはNHN Japanへの譲渡前に30億3000万円の株主配当を実施。エイシスもLDHへの譲渡前に、ライブドアに5億円の株主配当を実施する。
LDHに今回の売却で残るのは、株式売却額の63億500万円+ライブドアからの配当30億円=合計93億500万円となる。
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