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IntelのMcAfee買収に一部アナリストは疑念も

» 2010年08月20日 17時02分 公開
[Brian Prince,eWEEK]
eWEEK

 8月19日、米Intelが米McAfeeを76億8000万ドルで買収することで合意したというニュースに、業界アナリストはさまざまな反応を示した。

 両社の関係者は、買収によってIntelの製品群にセキュリティをより深く統合できるようになるとうたっていたが、この取引が合っているのか疑問に思っている向きもいる。

 「IntelがPCプラットフォームを保護するためにフランチャイズを拡大したいのなら、McAfeeの買収は素晴らしい取引だ」と米Forrester Researchのアナリスト、アンドリュー・ジャキス氏は語る。「だが、セキュリティをOSに組み込む今のセキュリティアフターマーケットを、歴史のゴミ箱に残された中でましなものというように考えてみると、この取引はむしろ難題だ。そういう見方をすると、IntelのMcAfee買収は、自動車メーカーが馬車用ムチの大手サプライヤーを買収するようなものだ」

 McAfeeが買収されるといううわさは以前からあり、主に、Hewlett-Packard(HP)に買収される可能性が挙げられていた。McAfeeの2009年の売上高は約20億ドルだ。

 Intelのポール・オッテリーニCEOはメディアとアナリストに向けた電話会見で、セキュリティは今や「エネルギー効率性能、インターネット接続に並ぶコンピューティングの第3の柱」だと語った。

 「コンピューティングの未来は、この3本柱の改善と統合にかかっていると確信している。McAfeeの資産の融合は、ハードウェアソリューションとソフトウェアソリューションの統合を加速、強化し、当社プラットフォームの全体的なセキュリティを向上させる」(オッテリーニ氏)

 それでもジャキス氏は、この買収には幾つか問題があるかもしれないと指摘する。その1つが、Intelがこれまでハードウェア事業にソフトを取り込むのに、同氏が言うところの「つぎはぎ」的なやり方をしてきたことだ。

 「2005年に、IntelはSarvegaを買収した。XML処理分野でハードとソフトを扱っていた企業だ」と同氏は説明する。「今やSarvegaは重要でなくなっている。1991年にはLANDeskをDMTF(デスクトップ管理タスクフォース)戦略の中核として買収した。LANDeskはドットコムブームの絶頂期に売られ、買われ、スピンオフされ、3度売却された。今Intelは再びソフトウェアに参戦したがっている。今回はどう違うのだろうか?」

 米The 451 Groupのスティーブ・コプラン氏は、Intelのソフトウェア部門は大きな売り上げを得ているのにもかかわらず、長らくハードウェア部門に対して「孤児」だったと指摘する。

 「ここで戦略的な推進力となるのは、無機的にソフトウェア売り上げを増やし、業界全体での認知度を高めることだ。セキュリティはシステムやネットワークの要素として統合するのが理想だ。Intelにはデスクトップやサーバの世界にもリーチできるモバイルファームウェア提供企業として台頭する機会がある」とコプラン氏。「McAfeeはセキュリティを専業にし、売り上げが予測が伸びるであろう数少ない企業の1つだった」

 米Gartnerのアナリスト、ニール・マクドナルド氏は、Intelは営業部隊を確立して企業に売り込むやり方を見いだす必要があると語る。

 「それが課題の1つだ」と同氏。「もう1つの課題は、McAfeeのビジネスの大部分を占めるネットワーク購買担当者は、Intelをまったく考慮していないということだ。Intelがこの市場を狙うなら、そのギャップを埋めるのは非常に難しい。McAfeeはそれに成功してきたが、Intelがそこに何も加えられないのが問題だ」

 この取引が規制当局の承認を得て完了すれば、McAfeeはIntelの完全子会社となり、Intelのソフトウェア&サービス部門の下に置かれる。

 「われわれがマイクロプロセッサを販売するあらゆる分野で、一緒にセキュリティソフトを売るチャンスがある」とオッテリーニ氏。「一緒に売る機会だけではなく、当社製品のアーキテクチャにセキュリティソフトを深く統合する機会でもある」

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