NECビッグローブは8月24日、Androidアプリストア「andronavi」をグランドオープンし、英語版サイトも公開した。2010年度末までに有料アプリ利用者数250万人、取扱高100億円、海外比率8割を目指す。「アプリストアを新たな事業の柱に育てていく」と同社の飯塚久夫社長は意気込む。
andronaviは、パートナー企業のアプリを募って販売したり、Android Marketの注目アプリを紹介するサイトで、専用のアプリもある。アプリのレビュー・比較記事掲載や、レーティング機能、端末やOSごとにアプリを検索する機能などを備え、PayPalとBIGLOBEの決済に対応している。今年1月に試験公開し、これまでに約400本のアプリを紹介してきた。
グランドオープンに伴い、アプリの数を拡充。電通の雑誌アプリ「MAGASTORE」、バンダイナムコゲームスの「PAC-MAN」、タイトーの「パズルボブル」など、さまざまなパートナー企業のアプリを順次投入し、9月末までに約250本を追加、ラインアップを計650本に拡充する。
アプリを登録できるのは法人のみだが、数カ月以内に個人開発者にも広げていく。同社はアプリ販売価格の2〜3割程度を手数料として得るほか、広告配信で収益を得るモデルも検討する。
英語版サイトでは現在、Android Marketで公開されいるアプリ40本をピックアップして紹介中。12月からは決済に対応し、漫画やゲーム、萌えコンテンツの英語版など“日本発”のアプリを中心に販売する予定。11年度には、中国度版やフランス語版など多言語化するる計画だ。
継続的にアプリを強化し、10年度末までに15万本のアプリを提供したいという。12年度の取扱高目標は、国内外合わせて100億円。8割を海外で稼ぐ計画だ。100億円は「保守的に計算した結果」(飯塚社長)で、200億円〜300億円達成も可能とみる。
それぞれ対応端末は、「HT-03A」「Xperia」「IS01」など国内で販売されているAndroidスマートフォン。米国など海外で出回っているAndroid端末にも順次対応していくほか、11月には同社からAndroidタブレット端末を発売し、スマートフォン以外の端末に対応していく。
開発者のアプリ企画やプロモーションなどを支援するサービス「andronavi Developer Service」を10月にスタート。アプリ開発やサービス運用の経験を生かし、開発者をサポートする。
同社は昨年から、ネット上のさまざまなサービスを、個人向けに最適化された形で利用できるようにする「パーソナルクラウド」事業に注力。その一環として、AndroidアプリやiPhoneアプリの開発・販売、andronaviの試験展開などを行ってきた。
同社がリリースしたアプリの一部は「予想外にも」(飯塚社長)海外でヒット。例えば、腕立て伏せの回数をカウントできる「うでたて道場」(iPhone/Android向け、115円)は合計4万ダウンロードあり、うち2万本は米国で売れたという。
この経験から、「海外のマーケットは本当に大きい」(同社の古関義幸常務)と実感。海外市場を本格的に開拓することにした。アニメやゲームなど日本が強みを持つコンテンツを翻訳して販売したり、各国のパートナー企業と連携したプロモーションを行い、ユーザーを拡大していく計画だ。
Googleの運営する“本家”のストア「Android Market」をはじめ、国内ではNTTドコモやKDDI(au)が独自のAndroidストアを展開するなどライバルは多いが、「多様な課金手段や、アプリのレビュー記事、Twitter・メールを通じたマーケティングなどで差別化していく。特に国内では、キャリアの制約のないオープンなサービスとして訴求する」(古関常務)という。
飯塚社長はKindleやiPadといったデバイスを触ってISP事業の危機を感じ、成長市場のAndroidマーケットに照準を定めたという。「KindleやiPadなどクラウドデバイスはネット回線がセットになっており、新たにISP契約する必要がない。生き残りをかけたビジネスモデルの変革が必要」。
andronaviの本格展開には、カプコンやタイトー、バンダイナムコゲームス、ハドソン、コーエーテクモホールディングス、大日本印刷(DNP)、電通、米Evernoteなどさまざまな企業が賛同。DNPの北島義俊社長やコーエーテクモホールディングスの松原健二社長、Evernoteのフィル・リービンCEOなどがビデオメッセージで期待を寄せていた。
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