小説「亡国のイージス」「機動戦士ガンダムUC」などで知られる作家の福井晴敏さんが、電子書籍に参入する。月刊ペースで“連載”する現代小説。現実社会で大事件が起きるなどして状況が変われば、配信済みの内容も現実に合うよう随時アップデートする「永遠に完成しない」小説になるという。
11月12日に開かれた電子書籍関連のイベントで発表した。タイトルは「人類資金」で、来春ごろ配信スタート予定。現代を舞台に、経済問題を絡めた小説になるという。iPadを含めた複数の媒体向けに配信する計画で、映画化も予定している。版元は講談社。
1章分程度を1カ月に1回ほどのペースで有料配信。経済情勢などが小説の内容とズレてくれば、配信済みの内容を随時、無料でアップデートし、リアルの状況に小説を合わせる。全章の配信が終われば、紙の本として角川書店から出版する予定だ。
福井さんが今、電子書籍に期待するのは「パブリシティ」だと率直に語る。「ハードの普及率などを考慮すると、何十万ダウンロードされるとは考えにくい。ただ電子で出せばマスコミが注目してくれる。文芸が気にしてもらえるなんて久しぶりなんですよ」。福井さんはITガジェットにうとく、iPadも持っていないと話す。
今後、電子書籍が普及すれば、小説家にとっても大きな変化になると展望する。「本は徹底的に個人の作業だったが、電子でやるなら動画を付けてもいいし、レコード会社と組んで主題歌を付けてもいい。みんなで1つのコンテンツをかたちにしていく。そういう作業がこれから、していかなきゃならなくなると思う」
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