富士通は5月12日、ペット医療にクラウドを活用する実証実験を都内の獣医師団体と共同で始めた。ペットの診療情報をクラウド上に蓄積して一元管理し、獣医師間で共有できるようにすることで、診療の効率化や獣医師間の連携、飼い主への情報公開などに活用。ペット医療の向上のためにクラウドの有効性を数年単位で検証していくのが狙いだ。
世田谷区など都内7区を含む城南地区で開業する獣医師有志の団体「東京城南地域獣医療推進協会」(TRVA)と共同で実施する。富士通は、(1)診療情報の入力から管理・共有、飼い主へのセキュアな情報公開が可能な診療支援サービス、(2)診療情報を関係者間でセキュアに共有するための情報共有基盤、(3)同社データセンター内のサーバやストレージをネットワーク経由で提供するクラウドサービス──を提供する。
TRVAは、2月に開設した「夜間救急動物医療センター・動物2次診療センター」での検査や診療、治療の記録を入力。クラウドを通じ、かかりつけの獣医師と記録の共有や、飼い主への迅速な情報開示などを通じ、飼い主が満足できるペット医療につなげていく。また診療・医療事務の効率化により、獣医師がコア業務に集中できる環境作りにもつなげる。
クラウド上のデータベースには、文書、画像、動画といったペットの診察データを秘匿化加工して蓄積。飼い主と獣医師、元の獣医師と引き継ぎ先の獣医師など、情報を必要としている人の間でのみ、セキュアに共有するできるとしている。
診察データを入力・管理・共有するためのサービスインタフェース開発にはアジャイル開発を採用。現場で出た獣医師からの要望などに迅速に対応でき、「現場で今日起きたことを明日の開発に生かせる」(富士通の岡田昭広クラウドビジネスサポート本部長)という。
岡田本部長によると、東日本大震災で被災した宮城県石巻市の石巻動物救護センターで、5月2日から同社のクラウドサービスを導入。被災した飼い主が多く、一時預かりや飼い主が不明のペットも多いが、「毎回特定の獣医が診察できるわけではないので、クラウドでペット情報を共有し、獣医師間での引き継ぎをスムーズにしている」という。
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