「足もとのいろいろな数字を見ているが、誰とは言わないが最近騒がしい人に比べて、緒戦は勝ったなという思いだ」──KDDIの田中孝司社長は10月17日の同社冬モデル発表会で、ソフトバンクモバイルとのiPhone 5販売レースの手応えを語った。
田中社長は「iPhone 4Sではどう売っていいのか手探りだったが、5は本当に社員全員の思いが結集して非常にいい結果になっていると思う」と話し、MNP(番号ポータビリティ)で12カ月連続首位を維持している実績に胸を張った。iPhone 5が発売された9月、KDDIへのMNP転入は9万5300だったのに対し、ソフトバンクモバイルは1200にとどまった。
KDDIのiPhone 5では、端末にLTEネットワーク内にいることを基地局から伝え、端末がネットワークを探す必要をなくすとで省電力化。ソフトバンクモバイルのiPhone 5に比べてバッテリーの持ちがいいと優位性をアピールした。
「拡大していくことは企業にとって非常に重要だと思っているが、自分たちがどうするということではなく、お客がどう考えているのかを大事にしたいと思っている」
LTE競争やiPhoneの同時発売などで取りざたされるソフトバンクとKDDI。巨額の買収を相次いで発表した競争相手に対し、田中社長は「お客が望んでいるものにリソースを投入しなければならない。LTEと3Gをシームレスにつないだり、電池消費を抑制するなど、そういうところに企業は集中しなければならない。お客から離れると企業はどこにいくのか分からなくなる。ソフトバンクのような考えもあるが、当社はそういう思いで進めていきたい」と述べ、「派手なのはいいんですが、性格が割と地味なのでそんな風にやりたい」と話して発表会場を笑わせた。
発表会後の囲み取材で、田中社長はソフトバンクが買収を発表した米Sprint Nextelについて「証券会社が持ち込むリストの中に常に入っていた」と同社に対しても売り込みがあったことを示唆。ソフトバンクによる買収については「われわれもいろいろと分析しているが、直接の効果はあまりないのでは」とみる。
今後については「トータルでどんな価値を提供できるかが大切になってくるだろう。規模を追うことも大切だが、ソフトバンクとは考え方が違う」と改めて説明。「決めるのはわれわれではなく、お客だ。スマートフォンの差別化がより難しくなっており、よりネットワークが大切になってきている。地味だが、キャリアの本懐だ」と話した。
米Appleが23日に発表するとみられる“iPad mini”をKDDIが販売すると報じられているが、記者からの質問は「それはノーコメント」と苦笑でかわした。
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