部屋とディスプレイとわたし
電子書籍で世界がもっと楽しくなる方法を考えよう 「売れる・売れない」を超える「第三極」のために(1/5 ページ)
ついにAmazon/Kindleストアのサービスがはじまり「黒船もとうとう来た。それどころかペリーも上陸しちゃったよ」という状況の電子書籍。思えば2010年になるiPadの発売以来、何度かのうねりを迎えながらもまた注目を集めています。
しかしそこで私が気になるのは「日本の各プレイヤーは、いったいどんなヴィジョンを電子書籍に描いているのだろうか」という疑問。みんなどんな展開を、電子書籍に求めているのでしょうか。
潜在顧客の発掘でしょうか。ネット経由で購入する電子書籍ならば、書店に足を運ぶ習慣のない人にもリーチできるかもしれません。
価格破壊でしょうか。流通在庫を持たない電子書籍は、紙よりずっと安くなるのかもしれません。
データ化による利便性でしょうか。物理メディアである本は、置き場所をとる。“自炊”までしてデータ化する人が出てくるのも必然でしょう。
「第三極」への期待
どんな方向でもいいと思うのですが、日本のプレイヤーからは、あまりヴィジョンが聞こえてこない気がするのです。
この点で、さすがに明確に展望を打ち出しているのがAmazonのジェフ・ベゾスで、彼は電子書籍の未来についてこう語っています。
「これまで出版されたすべての書籍がたった1分間で入手できるようになることだ。これが実現したらどれほどクールだろう!」(『東洋経済』11月3日号巻頭インタビュー)
ユーザーの利便性を追求して他サービスとの差別化をはかってきたAmazonらしく、“読み手”目線の未来図ですね。
一方、よくも悪くもそこが個人のカリスマ性に依存しない日本のメーカーという気もしますが、日本ではあまりそうしたヴィジョンは語られない印象を受けます。しかしただ紙を電子化して、紙の秩序を電子の世界に持っていくだけであれば、紙の(あまりいい話を聞かない)状況をそのまま電子に輸出してしまうだけではないかと、私などは心配してしまいます。
もっとも私自身、2010年より文芸や学芸。それにデジタルメディアや、さらには文章を発表するのは初めての著者など多彩な方々と「AiR(エア)」という書き手発の電子書籍をつくっており、この分野の展開は人ごとではありません。むしろ「そう言うおまえはどうなんだ? どんな展望があるんだ」という話なのですが、私の場合は「二極化する出版の世界で、新たな選択肢を獲得したい」と考えて取り組んでいます。要するに、紙とは違う形でも才能や作品が出てくる「第三極」が成立してほしいと。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「年齢は合ってますが、人間ではありません」 6歳の飼い猫に届いた“進研ゼミの案内” なぜ届いたのかベネッセに聞いた
-
2
Google、プライバシーポリシーに「Gmail」「Googleフォト」のデータを広告に使う例外を追加 回避方法は
-
3
GMO熊谷代表「社内ホワイトハッカーが事前に指摘」も対策遅れ、国に「能動的サイバー防御」要請 「責任転嫁では」SNSで批判も
-
4
「5年でバッテリーが使い物にならなくなる」は本当か テスラ「モデル3」5年目点検で分かったこと
-
5
ジョーシンへの不正アクセス、最大623万件漏えいか 運転免許証2件・マイナカード1件なども
-
6
グッスマに不正アクセス、公式EC閉鎖 会員の住所や注文履歴など漏えいか 再開目処立たず
-
7
野村総研、サイバー攻撃時の「能動的なシステム停止」を支援する新サービス
-
8
タイムズカー流出で顧客らが損害賠償求め運営会社提訴へ サイト開設の弁護士が記者会見
-
9
Xの「いいね」長押しで1ドル送金 マスク氏が“投げ銭”機能を予告
-
10
「漏えい」の一言で素通り客が振り返る──相次ぐ情報流出の中で開幕のセキュリティ展示会 来場者の態度も激変
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR