児童ポルノの単純所持を禁止する児童ポルノ禁止法改定案が6月5日、衆院本会議で可決された。昨年自民、公明、日本維新の会が提出した改定案の付則にあった漫画・アニメに関する規定は削除された。参院で成立し、施行された場合、自主的な廃棄を促すためとして施行から1年間は罰則を適用しない。
改定案では、自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノ(デジタル画像含む)を所持した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金とする刑事罰を導入する。国外犯も処罰対象となる。
刑事罰に問われる場合は「自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る」と条件を付けた。さらに「児童に対する性的搾取及び性的虐待から児童を保護し、その権利を擁護するとの本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならないものとする」という注意規定を盛り込み、捜査機関による乱用への懸念に配慮した形になっている。
いわゆる「三号ポルノ」の定義を明確化し、従来は「衣服の全部または一部を着けない児童の姿態であって、性欲を興奮させまたは刺激するもの」だったが、改正案では「であって」と「性欲」の間に「殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、」を追加する。また、盗撮による児童ポルノ製造罪を新設する。
改定案は昨年5月末に3党共同で提出されたが、「児童ポルノに類する」という漫画やアニメなど児童へのわいせつ行為などへの関連を「調査研究」し、その結果を受けて3年後をめどに「必要な措置」をとる──という附則に対し批判が高まった。この附則を削除することで民主党、結いの党が合意、法案は衆院法務委員長の提案として提出された。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR