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「“バルス”は迷惑?」「大喜利タグって日本独特?」――Twitter本社でいろいろ聞いてきた(3/4 ページ)

» 2014年10月29日 10時00分 公開
[山崎春奈,ITmedia]

日本独特の「大喜利ハッシュタグ」

――グローバルで見るとトラフィックがぐっと増える瞬間はどんなものがあるんでしょうか。

藤井慶太さん:予測できるものとできないものがあって、できるものでいうとアメリカンフットボールの優勝決定戦「Super Bowl」や新年を迎える瞬間です。新年の瞬間はもちろん時差で分担されるのですが、日本のタイムゾーンは韓国も入っていて人口が多いので、数で言うとかなり多いですよ。

 予測できないものだと、前回のアカデミー賞授賞式がかなり印象的です。司会を務めたエレン・デジェネレスさんが生放送の最中に会場の生中継中に豪華俳優陣との自撮り写真をツイートしたんですが、この瞬間のトラフィックが凄かったです。RTする人はもちろん検索数も跳ね上がりました。このあと4時間で230万回以上、現在までに330万回以上RTされていて、現時点のRT数世界最高記録となっています。

――なるほど、同じ瞬間に一気にツイートするだけでなく、検索やRTが集中することもあるんですね。検索だけに特化して見ると、目立って数字に影響する瞬間やクエリはまた違うんでしょうか。

藤井さん:検索は瞬間的というよりはある程度の時間をかけて盛り上がることが多いですね。リアルタイムの情報を検索できるのが一番の強みなので、常に最新のデータを取得して、適切な検索クエリをいち早くサジェストするオートコンプリート(自動補完)にも力を入れています。

 検索クエリの上位を見ていると日本語のものもちらほら目立ちます。事件や事故やニュース……最近だと御嶽山の噴火事故関連でしょうか。

 日本語圏で文化的に独特で面白いなと思うのは大喜利ハッシュタグの多さですね。トレンドにもほぼ常に入っていますが、検索数で見ても多いです。もちろん英語圏にも「ネタタグ」はあるんですが、それよりはイベントや特定のトピックの議論に使われている率が高い印象です。

 あとは「中央線」「小田急」「東急」など電車の路線名も特徴的ですね。遅延や事故があるとみなさんTwitterで検索して状況を知ってるのかなと。Twitterのリアルタイム性を生かした使い方をしてくれていると思います。

丹羽さん:「バルス」もそうなんですけど、日本は時差がないのが大きいですよね。Twitterって、今この瞬間に見ているタイムラインの盛り上がりや話題が自分の書き込むことに影響するじゃないですか。アメリカでは国内だけで4つのタイムゾーンがあって、お昼休みや寝る前の暇な時間なんかを全員で共有しているわけではないので「大喜利」のようにリアルタイムに重ねていく遊び方が比較的難しいのかもしれません。

仕様変更のキモは「感情を排する」

――月間アクティブユーザー数(MAU)の80%がモバイルからという数字も発表されていますが、アプリ開発の比重は高いのでしょうか。

丹羽さん:Twitterに限らずどのサービスにも共通だと思いますが、モバイルアプリの開発には全社的にかなり力を入れています。iOSチームも大きいです。

――機能や仕様の変更も頻繁にあるイメージですが、どんな風に決められているんですか。

丹羽さん:僕個人としてこのやり方が必ず正しいかは分からないですが、会社として「感情を排する」ことは徹底しています。一度実装して比較したデータを取る。出てきた数字で判断する。常に小さなアップデートは繰り返していますし、変更のすべてが数字で裏付けられています。「改悪だ」という声はもちろんあるとは思うんですが、ユーザー全体で見ると必ず何かプラスの裏付けがあります。

 とはいえ、このあたりは難しいですよね、誰しも自分の使い方に合ったもの、慣れているものが1番いいわけで“UIは宗教”ですから。ヘビーユーザーで理想のタイムラインを作っている人と、とりあえず新しく登録して何から見たらいいんだろうという人、求めるものは違いますからね。

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