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「自分だけのお気に入り」との出合いを 作品数100万点超のハンドメイドマーケット「minne」が近づける、作家とファンの距離(2/3 ページ)

» 2015年06月05日 11時00分 公開
[山崎春奈ITmedia]

シンプルに使いやすく「これならできそう」

photo ジャンル別に分かれ、雑誌をめくるように楽しめるアプリ

 minneがスタートしたのは約3年半前の2012年1月。のみの市や骨董市が好きな阿部さんが、社内の新規事業案募集に応募したのがきっかけだった。当時、すでに英語圏ではEtsyを始めハンドメイド作品の販売プラットフォームが急成長しており、国内でも既に同様のサービスが登場していた。最後発だからこそ、国内外のサービスを研究し、ユーザー目線の使いやすさを追求したという。

 「とにかくシンプルに迷わず使えることにこだわった。女性率が高く、PCやネットに明るくないユーザーも多いので、ブログを書いたりSNSに投稿する感覚で出品できるようにした。作家と購入者のやりとりもLINEのような見た目で気軽にコミュニケーションできるようになっている。ECサイトの作成や委託、オークションへの出品はハードルが高くても『これならできそう』と思ってほしかった」(阿部さん)

 minneが仲介に入る決済フローも、安心して販売・購入できると好評だ。購入者からの振り込み確認後に発送し、商品到着後に売り上げの入金作業に移るので、詐欺や配送時のトラブルも少ない。直接のお金のやりとりがない代わりに、「届いたイヤリングを着けてみました」「子どもに服を着せてみました」など、写真付きでお礼のメッセージが届くことも多く、作家のモチベーション維持につながっているという。

 「おしゃれなラッピングや手書きのメッセージカードなど、受け取る側も普段の買い物と少し違う特別な気持ちになれる。商品レビューとは違うファンの声を作者本人に届けられるのも、買う側にとって『価値ある買い物』と感じてもらえる部分だと思う」(阿部さん)

作家とファン、作家と作家を近づける

 今年は「アプリダウンロード数を増やす」「作家数・作品数を増やす」の2つに注力する。すでにPCよりスマートフォンからのアクセスが上回っており、うちアプリ経由は65%を占める。この流れはさらに加速すると見て、アプリの開発体制を増強し、プロモーションも強化していく。

 利用や投稿を活発にするには何よりまず「作家にきちんと応援の声が届く仕組みをつくること、ファンとつなげること」(阿部さん)と、クリエイター支援も積極的に取り組む。

photo イベントでもminneブースは大盛況
photo 5月にオープンした「minneのアトリエ」

 2月に行った第1回「ハンドメイド大賞」はジャンルを超えて約1万3000点の応募が集まり、予想以上の反響だったという。minneのサービス自体の利用促進にとどまらず、全国のハンドメイドイベントにminneブースを設け、出展者を募ったり、公式ブログで「デザインフェスタ」に参加する作家を紹介したり、ファンと作家が直接触れ合えるチャンスを作ることを大事にしている。

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