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「自分だけのお気に入り」との出合いを 作品数100万点超のハンドメイドマーケット「minne」が近づける、作家とファンの距離(3/3 ページ)

» 2015年06月05日 11時00分 公開
[山崎春奈ITmedia]
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 オンラインのつながりをリアルに広げる場として立ち上げたのが、5月初めに東京・世田谷にオープンした「minneのアトリエ」だ。「ハンドメイド大賞」の受賞作品を展示し、実際に手に取れるほか、常駐スタッフにサービスの使い方を相談することもできる。少人数の勉強会やワークショップの場としても活用していく予定で、値付けの仕方や写真撮影のコツなど基本的な知識を共有するビギナー向け勉強会はすぐに満席になった。

 「家で1人で黙々と制作しているという人も多く、クリエイター同士の横のつながりは意外に少ない。初めての勉強会は、お互い初対面とは思えないほど盛り上がっていたのが印象的だった。違うジャンルのものを作っていても、ハンドメイドの悩みや楽しさは共通。minneを中心にコミュニケーションが生まれている実感がある」(阿部さん)

photo 大賞を獲得した「森の動物たちのぽんぽんブローチ」
photo 衣類やファッションアイテム、手編みの日傘まで

photo こだわりを感じる「手編みの縄文土器<男子用>」
photo Twitter投票で人気を集めた「水風船のおもいで」

 現在はハンドメイドのマーケットと銘打っているが、将来的には広くものづくり全体をカバーするサービスに成長させるのが目標だ。現在は出品できないジャムやパンなどの食料品、男性向けジャンルとして革小物や雑貨など「まだまだ可能性のある分野はある」(阿部さん)。

「一歩踏み出せる温かさを」

 ユーザーが数百人単位だったという立ち上げ初期、トップページのピックアップ作品は阿部さんが全投稿を見て選び、クリエイターに掲載を知らせていた。基本的にはユーザーが購入できる作品を載せていたが、ある日、阿部さんが気に入った作品の1つは展示のみだった。少し悩んでからその作品をピックアップし、「とても素敵なので、よければ販売もしてみてください」とメッセージを送った。

 「その一言がきっかけで販売を始めたんです、あの時選んでくれたことが自信になりました」――3年後、「ハンドメイド大賞」の授賞式を終えた後のある打ち合わせの席で話しかけられた。商品化賞を受賞した人気作品「にぎにぎストラップ」の作者・gaucheさんは、阿部さんが背中を押したまさにその人だったのだ。

photo お腹を押すとプープー音が鳴る「にぎにぎストラップ」は手芸キットとして発売予定

 「地元のイベントに参加したり、友達や親戚に作ってあげたり、小さく活動しているみなさんはクオリティの高いものを作っていてもとても謙虚。一歩踏み出せばもっと多くの人に見てもらえるし、好きになってもらえる。見ず知らずの人にコメントをもらったり、お金を出して買ってもらえる喜びは必ず刺激になる。自分も作ってみたい、売ってみたい、と思ってもらえるよう、温かさを感じるプラットフォームとして少しずつ大きくしていきたい」(阿部さん)

photo 阿部雅幸さん
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