デモ曲を提供したボカロPにも、VOCALOID Fukaseを使ってみた感想を聞いた。
「ALICE」という楽曲を提供したALTOSさんは、「これまでの男声VOCALOIDにはない個性的な音」と高い評価。ライブラリの中ではNormalよりもSoftの衝撃が大きく、ロックやEDM以外でもボサノバ、フォークなどアコースティックなものにも合いそうだと語った。
Fukaseの語りから入る「ALICE」は、Softデータベースでその世界観や歌詞をベタ打ちしていただけで自然にできがってきた。「朝起きたらそこに生身のFukaseさんがいて」という体験ができたそうだ。
れるりりさんも、Softのほうがお気に入りだ。ブレスノイズ、なよっとしたノイズ多めの声が特徴的で、単体で使うのは難しそうだけど、オケにまぜると効果的だったという。Softで高い音程を歌わせると勝手にファルセットっぽくなるというTipsも。「ロキノン系にもそうでないのにもバッチリいけるんじゃないか」
れるりりさんの楽曲「僕がモンスターになった日」では、2番の落ちサビ(2分33秒あたりから)で、1カ所だけ使っているピッチスナップモード。そこはFukaseが歌ってるみたいと話題に。
楽曲へのコメントも、いつものようにボカロ好きだけじゃなくて、セカオワのファンが聞いてくれているのを実感しているという。
「Fukaseさん自身、ボカロに自分から興味をもって聞いてきたのがうれしい」「ボカロシーンとロックバンドシーンがうまくつながっていっしょに盛り上げていけたら」「サブカルっぽい、オタクっぽいボカロ文化にFukaseが入ってくることで風通しのよいものになるといい」といった、れるりりさんの言葉を聞くと、VOCALOID Fukaseはそれらを結びつけるツールになるかもしれない、と感じた。
小林幸子のSachiko、そしてセカオワFukaseと、有名な歌手の特徴的な声色とその歌い方を再現する方向性でヤマハは成功しつつあるようだ。
ヤマハの木村さんは、こうした有名ボーカリストのVOCALOIDを使うのは「例えばエレキギターでエリック・クラプトンモデルを買って、そのコピーから始めるようなものですね」と笑う。そのシンガーが好きでボカロをはじめて、いつのまにか楽器が弾けるようになるみたいに音楽が作れるようになれば。
Fukaseボカロのスターターパックで課題曲をやってみたら、鼻歌でもいいから自分で打ち込んで、内蔵音源でオケもちょっと作ってみる、そんな音楽の世界の始まりがあってもいいんじゃないだろうか。
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