(このコンテンツはオルタナティブ・ブログ「村上福之の『ネットとケータイと俺様』」からの転載です。エントリーはこちら。)
LINE botは2016年のiモードだ。要するに開発費が異常に安くて、工夫すればお金を取れるコンテンツを作れる。Facebookもbotストアを出すらしい。「開発費が安くて、大企業がストアを出して、プラットフォームを問わない」。そう、完全にやばい。他のバズワードと違いカネになる布石が揃っている。
チャット系botはすごい。革命だ。
例えば、三河屋botを作ったとしよう。そうすると上記のような画像になる。この画像で、何がスゴイか分からない人は、ネット業界に向いてない。
botはUI/UXやデザインにお金が掛からない。今までのスマホのコンテンツはデザインにお金が掛かりすぎた。つらい。iモードも最初、CHTMLでなにができるんじゃーって思って、Javaのリッチなiアプリで無駄なコア技術を開発していたが、フロンティアはCHTMLだった。iアプリと違って、プラットフォームを問わない。
LINE botはiモード時代のCHTMLに似ている。今までスマホはiOSとAndroidで2つの開発プラットフォームが必要だった。しかも、Androidの方が開発費がかかるのに売り上げがiOSより少ないという悪循環だ。ガラケー時代で言うとBREWみたいだ。Botはプラットフォームを問わない。Microsoftはbotを1つ作れば、FBにもLineにも出せる開発ツールをリリースすると発表した。世界が変わる。
TechCrunchによると、今年のF8でFacebookもbot Storeを出すのではといううわさがある。完全にゴールドラッシュだ。
そんなわけで、noteに非技術者でも作れるbotのマニュアルを出した。大事なことを書いている。
LINE BOT APIの技術文書は英語の上に、技術者向けだった。初心者向けではない。びっくりするくらいシンプルで驚く。サンプルソースコードもほぼ無い。jsonの仕様くらいしか書いてない。分かる人にはすごくシンプルなんだけど、だいたいエンジニアは面白いbotを作れる人が少ない。一番、面白いものを作れそうな人に届かない。
このnoteも、1人くらい買ってくれればいいだろうくらいのノリだった。だから、金曜日に出して、すぐ寝て、泊まりがけの登山に行って帰ってきたら、異常に偏ったレイヤーに売れた。買っている人が業界の重鎮ばっかりでびっくりした。Facebookでできたーってつぶやかれて、うれしかった。本当にうれしかった。 業界で面白い人ばっかりでよかった。
人工知能は多くの人にとって2016年にB2Cで直ちにカネになるものではない。B2Bではもうかる。個人的には2016年はbotだ。botも人工知能の機能を使うが、人工知能はできることと、できないことがある。IBMの「Watson」に零細企業がデータをぶっ込んでも、B2Cでお金を払って使ってもらえるレベルにするのはつらい。
ディープラーニングもすごいし、面白いけど、B2Cで金払って使うものは、あまりたくさん思いつかない。B2Bではけっこういろいろソリューションはあるが、B2Cで人工知能はまだ、来ない。何より開発に大量のデータとCPUが必要で中小零細ベンチャーにはつらい。だから、もう一度言うけど、人工知能は多くの人にとって2016年にB2Cでただちにカネになるものではない。
Fintechも同様だ。ブロックチェーンが一時期、もてはやされたが、個人的に使った限り、金融系のトランザクションをこれに置き換えることはできるだろうが 今の処理速度では、現状のデータベースのほうが速いし確実だ。また、そういう仕事をとれる会社は限られている。また、昨今、銀行などがAPIを出そうとしているが、どうなのかよく分からない。マネーフォワードを使ってみたが、そもそも、自分のカネに無頓着なので、登録したが月に1回も見るか見ないかだ。
2016年はbotが来ると思っているが、俺が流行ると言うと、だいたい流行らないので、微妙なところだ。
LINE botの非技術者向け作成手順マニュアル(ブラウザだけで作ります)|ふくゆき|note(ノート) https://note.mu/fukuyuki/n/n1442f2e9a505
村上福之(むらかみ・ふくゆき)
株式会社クレイジーワークス、代表取締役 総裁。
ケータイを中心としたソリューションとシステム開発会社を運営。得意なことは空気を読まない発言。苦手なものは人付き合い。
休日は会う人がいないので、1日ネットをして過ごし、ブログなどで「死にたい」などを連発する優雅でセレブな休日をすごす。
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