絶海の孤島にあり、凶悪犯たちが「脱獄不可能」と恐れた“監獄島”――米サンフランシスコから約2キロの沖合に浮かぶ島、アルカトラズ島をご存じだろうか。ウェアラブルカメラの米GoProのイベント(関連記事)でサンフランシスコを訪れた機会に足を運んでみた。
大都市と目と鼻の先にありながら、島を取り巻く海流の速さ、海水温の低さから、泳いで逃げることが難しく、1934年から63年まで連邦刑務所となった。「暗黒街の帝王」と呼ばれたギャング、アル・カポネをはじめ、数々の凶悪犯が投獄されている。
そんなアルカトラズ島だが、現在は国立レクリエーション地域となり、誰でも“入獄”することが可能だ。当時の面影が生々しく残る“監獄島”の内部を見るべく、実際に潜入してみた。
島に上陸し、刑務所の内部に入ると、囚人たちが使ったシャワールームが。音声ガイドを受け取って進むと、目の前には三段に積み重なった独房が現れる。約1.5(幅)×約2(奥行き)メートルほどの小部屋には、ベッドや洗面台しかなく、重苦しい雰囲気が漂っている。
音声ガイドには、元看守・囚人のインタビューを収録。囚人の叫び声や鉄扉の閉まる音など、臨場感あふれる音とともに、刑務所内を案内してくれる。元囚人が「自分がいた独房は、壁の染みまでよく覚えている。いつしか自分が独房の一部になっていくように感じられるんだ」と話していたのが印象的だった。
「脱出不可能」と言われるアルカトラズだが、約30年の歴史の中で36人が脱獄を試みている。大半は途中で見つかったり、射殺されたりしたが、発見されずに逃げ切った人物が3人だけいる。
1962年、フランク・モリスとアングリン兄弟は、夜な夜なスプーンで壁を掘り、脱獄を図った。ベッドには偽物の頭を入れておくほどの用意周到な計画で、看守の捜索にもかかわらず、その後も3人は発見できなかった。一説には「海を渡り終える前に溺死した」とも言われるが、真相は分かっていない。
刑務所の建物から外に出ると、海を越えた先には、サンフランシスコの街並みが広がっていた。当時の囚人たちも同じような景色を眺め、脱出を夢見たのかもしれない。
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