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「宇宙ごみ」を大気レーダーで観測、サイズや軌道を推定 京大が成功

» 2016年06月07日 11時39分 公開
[ITmedia]

 京都大学は6月6日、通常は地球の大気を観測するMUレーダーを使い、使用済みのロケットや人工衛星の破片などの「宇宙ごみ」のサイズを捉えることに成功したと発表した。宇宙ごみの分布モデルの構築や、除去方法の研究に役立てるという。

photo MUレーダーで宇宙ごみの状態を推定

 現在、地球の周囲には、10センチ以上の宇宙ごみが2万個以上存在するという。数センチ程度の大きさでも、秒速8キロほどの速さで飛んでいるため、運用中の宇宙ステーションや人工衛星に激突して被害を引き起こす可能性がある。近年は、宇宙ごみ同士が衝突すると、より小さな宇宙ごみが発生し、全体のごみの数が劇的に増えていく――という「ケスラーシンドローム」も懸念されている。

 京都大学生存圏研究所の大気観測用のMUレーダー(周波数46.5MHz、波長6.45メートル)を使用し、高度数百キロを飛び交う宇宙ごみを捉えた。レーダーと同程度の波長のごみのサイズ、回転の向き、形などを推定できたという。

 同大学のレーダー以外にも既存の観測装置に技術を応用することで、宇宙ごみを観測する能力の向上につなげる考えだ。今後、状態や軌道の推定精度を向上し、10センチ以下の微細なごみの分布モデルの構築、除去方法の研究にも役立てるとしている。

 成果は「日本航空宇宙学会論文集」6月号に掲載された。

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