ネットでの話題は、ネット通販での実売に結びついた。4月22日の発売から1カ月以上、Amazon.co.jpの書籍総合ランキングの「中学生の社会」「同理科」カテゴリーで1位にランクイン。2カ月経った今でも2位を維持している。
書店も動いた。「ボカロに興味がある書店員さんが多く、『行ける』と思ってくださった」。売り場にPV映像や曲を流してくれる書店も増え、大きなディスプレイでPVを流し、その周りをイラストで彩るなど、学習参考書売り場なのにまるでアニメDVD売り場のように彩ってくれた書店もあった。
「これなら子供が喜ぶかもしれない」――書店の売り場で購入したある中学生の親は、こう話していたという。「『子供が勉強してくれそう』ではなく『喜ぶ』と言ってもらえたのは、参考書売り場で初めて」。応対した書店員も驚いていたそうだ。
4月22日の発売と同時に重版が決定。発売3週間で一時品切れになり、約2カ月で累計発行部数は13万部を突破した。1年で1万部ほどが通常という中学学習参考書業界では異例の大ヒットだ。「テレビCMのような大規模なプロモーションはできないが、ファンに確実に届けて話題を作り、実際の部数につなげることができた」。
「表紙をみただけでやる気がでる」「大好きなボカロで勉強できて本当に楽しいです」「得した気分です」――読者から返ってきたアンケートはがきには、感激の声がつづられている。高校生向けやほかの教科など続編を求める声も強く、ボカロPたちと「次の展開」を検討中だ。
次回作へのPの熱意もすごいという。「あんなに大変だったのに、あんなにリテイクしたのに、またやりたいとおっしゃってくれる」。
「音楽を作ることで、直接子どもたちの役に立てる、誰かのためになれると実感できてうれしい」「大変だけど、挑戦しがいがある」――Pたちは、こう言ってくれたという。
「ボカロ」と「参考書」。一見接点のなさそうなこの2つをつなげ、化学反応を起こした学研。Pのやる気と中学生のやる気を引き出し、新たな市場の開拓に成功している。
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