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チケット高額転売問題、解決策は「いろいろある」 津田大介さん・福井健策さんの見方(4/5 ページ)

» 2016年09月23日 09時39分 公開
[岡田有花ITmedia]

 国内でも一部イベントで顔認証を導入。例えば「ももいろクローバーZ」のライブでは、係員が来場者の顔をタブレットで撮影し、事前に登録してある写真と照合する認証システムを導入している。

 また、チケットを電子化すれば、都合が悪くなって行けなくなった公演のチケットの権利をオンラインで“返品”したり、他の人に譲るシステムも構築できる。「日本の興業業界が、古い紙のチケットにこだわるやり方を続け、システムの変更を先延ばしにきたツケがいま噴き出している面もあるのでは」(津田さん)。

ネットダフ屋を規制する法律はあるか

 ネットダフ屋を規制する法律はあるのだろうか。チケットショップやイベント会場などリアルな場に現れるダフ屋は、都道府県の迷惑防止条例で規制されている。「チケット売り場などでうろついたり人につきまとったりし、公共の場所で人々に迷惑をかけている」ことが規制理由になっていると、福井さんは説明する。

 迷惑防止条例でネットダフ屋も規制できるかはあいまいだ。「ダフ行為の中心的な場所がネットに移った以上、ネットも『公の場所』だと言ってしまえば迷惑防止条例で処罰できるかもしれないが、そこには不明確さがある」(福井さん)。

 ただ「現行法でも対処できる」(福井さん)とも。「高値で転売されたチケットは、主催者が規約違反で無効化する可能性がある。入場を拒絶される恐れがあるチケットを人に売る行為は、詐欺罪に当たる可能性があり、主催者に対する業務妨害罪の可能性もある。悪質な場合は刑事告訴され得るし、おそらく今後増えるだろう」。

 9月14日には、嵐のチケットをネット上で無許可で転売したとして、古物営業法違反(無許可営業)の疑いで、香川県の25歳の女が逮捕された。2年前からチケット約300枚を転売し、計約1000万円を売り上げていたとみられている。

 「転売チケットは古物とされ、営業として売買を行うなら古物営業の許可がいる。逮捕された方は、転売の規模が大きかったため『営業』だと判断されたのだろう。これは営業許可を取れば済む話ではあるので、本当の転売業者への対策にはならないかもしれない。ただ、一般人には手続は重荷だし、逮捕者まで出たことで意外と抑止効果は大きい気がする」(福井さん)。

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