米SpaceXのイーロン・マスクCEOは9月28日(現地時間)、メキシコのグアダラハラで開催の国際宇宙会議(IAC)で、「Making Humans a Multiplanetary Species(人類を“多惑星種”にする)」と題した講演で火星コロニー構想を語った。
マスク氏は講演の冒頭で、「人類の未来は2つに分かれている。幾つかの災害を経て滅亡に向かうか、地球以外の惑星の移住して、多惑星種になるか、だ」と語った。
同氏は、火星に移民を送り込むための、再利用可能な宇宙船「Interplanetary Transport System(ITS)」のシステムを披露した。ITSは100トンの貨物と人間を運送できる宇宙船。「Raptor」と名付けたロケットエンジンで飛ぶ。
同社は25日、Raptorの初の燃焼実験を実施し、成功させている。
Raptorの推進剤はメタンと酸素で、大気圏外では2翼の太陽電池パネルのパワーで推進する。火星に構築する推進剤や住民のためのメタンと酸素を生成する基地で再充填すればブースター部分を地球に戻せるとしている。こうして再利用することでコストを大幅に削減できる。
マスク氏はこのシステムであれば、火星までの乗船料は1人20万ドル(約2000万円)しか掛からないと説明した。2022年を目標とする最初の航行では100人を火星に送り込む計画という。火星までは80〜150日かかるが、船内には無重力の部屋や映画館、カフェなどを用意するので、「旅は楽しいものになる」とマスク氏は語った。将来的には30日に短縮したいという。
マスク氏は、誰もが数日のトレーニングだけで火星に行けるようにする計画だと語った。ただし、まだ事故のリスクも高く、“死ぬ覚悟”も必要なので、子どもは乗船できないとも語った。
この講演の録画はYouTubeで公開されている。
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