ITmedia NEWS > 製品動向 >
ニュース
2016年11月07日 08時00分 UPDATE

“中の人”が明かすパソコン裏話:そのノートPC、指一本でスムーズに開けますか? 米国担当者を魅了して実現した「ヒンジ」の心地よさ (1/3)

メーカーの中の人だからこそ知っている“PCづくりの裏話”を明かすこの連載。今回はノートPCになくてはならない「ヒンジ」のこだわりについて紹介します。

[白木智幸(日本HP),ITmedia]

生活を支える「ヒンジ」

 こんにちは、日本HPでPCのローカライズなどを担当している白木智幸です。前回は、「ファンレスPC」の魅力をご紹介しましたが、第4回となる今回はノートPCのディスプレイを支える「ヒンジ」の開発秘話についてご紹介したいと思います。

photo

 ノートPCは、ディスプレイを閉じて気軽に持ち運び可能できる点が魅力ですが、この何気ない開閉機構に注目したことはありますか? ディスプレイを開閉するときに加わる重量や力を一手に引き受けているのが「ヒンジ」と呼ばれる部品です。

 ヒンジは「ちょうつがい」とも呼ばれ、ドアやクローゼット、冷蔵庫、金庫の扉などにも利用されています。製品問わず、扉や“ふた”のような開閉機構には、ほぼ必ずヒンジが使われており、生活になくてはならない部品といっても過言ではありません。

photo 平型ヒンジ

 至る所で使われているため、見た目や構造が異なるさまざまな種類のヒンジが存在しています。例えば高級家具や装飾されたドアの場合、高級感を出すために内側の見えにくい場所にヒンジを取り付けることがあります。見た目のシンプルさや、開閉時の驚きを演出できる反面、構造は複雑になります。

 ヒンジ自体に装飾を施しているケースや、見た目より強固さを重視した重量のある扉を支えるためのヒンジは、あえてヒンジを外の見えるところに設置することもあります。

photo マンダリンオリエンタル東京の金庫。重厚なドアを支える頑丈なヒンジが見える
photo メルセデス・ベンツ Gクラスのヒンジ。重厚なドアを支える頑丈なヒンジが見える。悪路をものともしない究極のオフローダーという商品性のアクセントにもなっている

 これと同じようにノートPCのヒンジにも種類があり、その製品が目指す機能や性能によって使い分けられています。逆に言えば、ヒンジによってその製品デザインが決まるとも言えます。

「こだわりのレシピ」

 ドアや扉のヒンジではあまり見られない特徴ですが、ノートPCのヒンジは自由な角度で固定できる必要があります。皆さんがお使いのノートPCも、作業する姿勢によってディスプレイを見やすい好みの角度に調整して利用すると思います。ディスプレイ部分が好みの角度で固定できず、閉じているか、またはヒンジの限界まで開いているかの二択だったら不便ですよね。

 そこで、ほとんどのノートPCでは「フリーストップヒンジ」というものが使われています。このヒンジには、ある程度のトルク(反発力)があるために、開く角度を自由に固定できます。しかし、残念なことに物事には「万能」というものはありません。何かを得れば、何かを失います。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.