チケット転売サイト「チケットキャンプ」を運営するフンザの親会社・ミクシィ取締役の荻野泰弘氏が11月9日、チケットの高額転売問題についてコメントした。チケットキャンプは高額転売の温床とも批判されているが、「いくらが高額かは人によってさまざまで定義がない。今後も話し合いを続けたい」と述べた。
チケットキャンプは、チケット2次流通最大手で、ミクシィが昨年買収した。6月時点の登録会員数は200万人を突破。流通総額も順調に拡大しているという。
一方で、チケット高額転売の温床になっているとの批判もある。音楽業界4団体は8月、「チケット高額転売に反対します」との声明を発表。チケットキャンプがテレビCMを放送したことを受け、「チケットキャンプは公式ではなく、チケットの高額転売には反対だと明確に示すこと必要がある」と考えたことが、声明を出すきっかけだったと業界側は説明している。
荻野氏は、チケット市場について「今非常に大きな課題を抱えていることは間違いない市場。いちプレイヤーだけで解決できるものではなく、業界全体で解決すべき課題だ」と述べる。
課題とは「コンサートに行きたくてもチケットが手に入らなかったり、行けなくなったライブのチケットをどうするかという問題、コンサートを会場の数が足りない問題」などと認識。「1つ解決すればすべてが解決というわけではなく、対話を通し、最適なマーケットが作れるようにしたい」という。
チケットキャンプでは、詐欺や偽造など、悪質な転売行為の対策は行ってきたという。チケットを買い占め、市価以上につり上げて転売する行為も「悪質な転売」と考えており、「積極的に対策に取り組んでいる」というが、具体的な取り組みの内容は明らかにしなかった。
チケットキャンプが「高額転売の温床」だと音楽業界などから批判されていることについては、「何が高額か定義がない。人によっては3000円を高額と感じる人もいるし、100万円の人もいる。われわれはマーケットプレイスを提供しておりユーザーが価格を設定している。価格をロックするにしても、『高額』の定義がない中、何が高額なのかをユーザーに合理的に説明できない。何が高額なのかご意見をいただくためにも、是非とも話し合いを続けたい」と述べる。
話し合いの門戸は開いており、例えば、ライブの興行主が「このチケットは定価の○%までの価格でしか売らないでほしい」など要望したい場合は、「個別に話し合いたい」という。
音楽業界側は、チケットキャンプとは対話済みで、「チケットの転売も定価以下に収めてほしいなどの要求を出したが受け入れられなかった」としている。荻野氏は「誰とどういう話をしたなどの個別の対応は申し上げられないが、積極的に門戸を開き、より本質的な課題解決に向けて情報交換したい」という。
ミクシィ取締役を務めていた慶応義塾大学大学院教授の中村伊知哉氏は、チケットキャンプと音楽業界の対立を調整できず「責任を感じた」とし、社外取締役を辞任したとブログで明かした。中村氏の辞任について荻野氏は「一身上の都合、個人的な理由だと聞いている」と述べた。
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