「コメントはniconicoらしい機能ので、それありきの企画に見えるかもしれないが、実は最初から意図したものではなかった」と吉澤さんは話す。ゲーム作りの醍醐味は「ユーザーの感想が聞けること」(吉澤さん)。作る側と遊ぶ側が意見交換しやすいようにとアイデアを出し合う中で、エンジニアが開発環境で試しにコメント機能を実装してみたところ、「面白かった」という。「ドワンゴの社内で、自作ゲームをサービスとして成功させたいという強い意志を持っている人がたくさんいたからこそ生まれた機能だと思う」(吉澤さん)。
こうして誕生したコメント機能は、自作ゲームの作り手にも好評だ。「松恋」制作チームの1人・綾野ゆうさんは「(コメント機能があることで)遊んだユーザーが感想を書きやすく、制作者が反応を受け取りやすくなると感じた」と話す。「『面白い!』『www』とコメントがあると『やってやったぜ!』と思える。反応がないとさみしい」(綾野さん)。
これまで綾野さんは、別のプラットフォームなどで自作ゲームを公開。自分が作ったゲームを他のユーザーが実況した動画を見たり、Twitterで感想を検索したりして反応を探っていたという。「RPGアツマールは、投稿の場所と感想を受け取れる場所が1つになっている分、反応がすぐに返って来る」(綾野さん)。
「松恋」のゲーム内では、「クロマツを追いかける」「アカマツを慰める」など、ユーザーがどちらの行動を選ぶかでシナリオが変わる(ルートが分岐する)仕掛けがある。異なるルートでは、それぞれ画面に流れるコメントも分かれるように設定。実況動画とは違い、ユーザーが実際にプレイし体験した内容をコメントするため、まだ見ていないものに対するネタバレや、的外れなコメントが少ないという。
「例えば、敵から逃げるゲームだと、追い付かれた場合は『ああああ』というコメントが、逃げ切った場合は『よかったああああ』というコメントがよく流れている。結果が分岐すると、コメントの内容も変わるので混ざらない」(伊豫田さん)
ゲームを遊んでいるとコメントがしづらいようにも思えるが、実際にコメントの内容を見てみると、ゲーム内で結果が分かったり、他のコメントを読んだ後に書き込んだりしているようだ。「動画と違い、その場でコメントするので、ずれが生じにくい。最初から意図したわけではなかったコメント機能だが、結果的に考えられた仕組みになった」(吉澤さん)。
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