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“松の木と恋する”恋愛ゲームも!? 盛り上がる「自作ゲーム」文化、投稿サイトで人気後押し ドワンゴ「RPGアツマール」公開(4/5 ページ)

» 2017年01月20日 08時00分 公開
[片渕陽平ITmedia]

「日本の会社を見渡して、できるのはドワンゴだと思った」

 吉澤さんは、ドワンゴに入社する前、長年にわたりソニー・コンピュータエンタテインメントでゲームプロデューサーを務めていた。ゲーム業界の第一線で働き続けて20年以上、「パタポン」「俺の屍を越えてゆけ」などのヒット作を世に送り出している。「クリエイターを見つけて、一緒にゲームを作ることはとにかく大変だが、それ以上にめちゃくちゃに楽しい」(吉澤さん)。

photo ドワンゴ 第一企画開発部 ゲーム制作セクションの吉澤純一さん

 そんな吉澤さんがドワンゴに入社を決めた理由は、「そんな楽しさをより広く、ゲームを作ったことがない素人や、個人のクリエイターにも体験してほしい」との思いからだった。

 吉澤さんが目を付けたのは、ニコニコ動画で盛り上がる「ゲーム実況」だ。「コンシューマーゲームの制作側からすると、『ゲーム実況は“ネタばれ”になる』と最初は抵抗があった。だが、ゲームのことを広く知ってもらうには、実況動画は非常に優れている。実況動画からヒットした自作ゲームも多い」。

 「ユーザーとの距離が近い分、動画投稿サイトは自作ゲームと親和性が高く、そうした場にゲームプラットフォームを作りたいと考えた。日本の会社を見渡したところ、できるのはドワンゴだと思った」(吉澤さん)

photo 伊豫田旭彦さん

 一方、ドワンゴの社内にも自作ゲームの文化を盛り上げようと、情熱を注いでいる人物がいた。伊豫田さんだ。「高校時代、友人と2次創作のゲームを作り、コミックマーケットでフロッピー50枚を頒布した。購入者から手紙で感想をもらえたのがうれしかった」。

 伊豫田さんは、2013年からニコニコ動画内のコンテスト「ニコニコ自作ゲームフェス」の開催に携わってきた。ユーザーに自作ゲームの紹介動画を投稿してもらい、優秀な作品を決定。よりたくさんの人に遊んでもらうように試みている。「音楽コンテンツの分野だと、個人が『千本桜』のようなボーカロイド曲を作り、それを他のユーザーが歌ってみたり、踊ってみたりしている。自作ゲームの分野でも、そうした新しいインターネットでの楽しみ方ができないかと模索していた」(伊豫田さん)。

 吉澤さん、伊豫田さんらの情熱で、RPGアツマールのプロジェクトが動き出したのは15年12月ごろ。ドワンゴと同じくカドカワ傘下のKADOKAWAが「RPGツクールMV」を発売した時期とも重なる。

 RPGツクールMVは、プログラミングの知識がなくても手軽に使えるのが特徴。Windows、Mac、スマートフォン(Android/iOS)に対応したほか、HTML5形式で出力すればWebブラウザでも遊べるオリジナルゲームが作れる。「カドカワのグループシナジーを発揮して、RPGアツマールは実現した」(吉澤さん)。

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