4月中旬からネット上で話題を呼んでいるSNSの新鋭「Mastodon」(マストドン)。13日に報じた通り、日本国内で大きくユーザー数を集めたのは22歳の大学院生が私費で自宅のサーバに立ち上げた日本人向けインスタンス「mstdn.jp」がきっかけだった。事の発端から、わずか数日でドワンゴへの入社も決まった若き運営者“ぬるかるさん"は一体どんな人物なのか。本人とご両親に話を聞いた。
ITmedia NEWSでは、ニュースと連載によって連日報じてきたが、念のため概要をここでも解説しておく。マストドンは投稿(トゥート)できる文字数が500文字までといった違いはあるが、発言が表示されるタイムラインや返信、ブースト(リツイート)、お気に入り、フォロー、リフォローといった基本機能はTwitterと同じSNSだ。ユーザーインタフェースもTwitterの公式クライアント「TweetDeck」とほぼ同様だ。
大きな違いは、運営されるサーバが分散型である点だ。Twitterを中央集権型SNSとするならば、マストドンは分散型SNSといえる。
分散型であるメリットは、「1つのサーバが停止して、全サービスが止まってしまうリスク」「単一企業による独占リスク」を避けられるということ。Twitter社が倒産したらTwitterは止まってしまうが、マストドンは誰かがインスタンス(サーバ)を運営する限り、その仕組みが無くなることはない。
サーバに関する知識があれば、配布されているマストドンのプラットフォームを使って誰でもTwitterのようなサービスを運営できる。同じプラットフォームを利用するため、他の管理者が立ち上げたインスタンスのユーザーとも、互いにフォローしたり、投稿を見たり、返信したり、相互に接続できるのがポイントだ。
つまり、誰かのマンションに入居して発言することも、自分でマンションを建てて発言する(そして誰かを住まわせる)こともできる。あるいは一軒家でもいい。今回話を聞いたぬるかるさんは、世界一(8万人以上)の入居者がいる超高層ビルをわずか数日で建ててしまった。
マストドンの存在が日本で知られるようになってから、いち早くjpドメインでインスタンスを立てた、ぬるかるさん(@nullkal/mstdn.jp/@nullkal)は、筑波大学(情報学群情報メディア創成学類)出身で、この春から同大学院(図書館情報メディア研究科)に所属している修士課程1年の男性だ。意外にも、院ではWebと全く関係のない分野の研究を行う予定だったという。
激動の約10日間を振り返りながら、ついこの前までmstdn.jpが動いていたサーバのある実家でインタビューに答えてくれた(聞き手:ITmedia NEWS編集部 山口恵祐)。
──まずは……お疲れさまでした。反響を見て今どんな心境ですか。
ぬるかる すごい疲れました。
──今回はご両親にも同席していただいていますが。
ぬるかる母 主人が最初にニュースを見つけたんです。
ぬるかる父 事前に何にも連絡がなかった。4月14日ぐらいにネットニュースを見ていたら「ぬるかる」の名前が飛び込んできて、「えぇ!?」ってなった。(ぬるかるの)Twitterアカウントは知っていたので、タイムラインを見たらえらいことになってるぞと。
ぬるかる母 ちょうどそのころ、ぬるかるの部屋にあるサーバがうなり声をあげていて、ランプは激しく光ってるし熱持ってるし……変なことやってるなとは思っていた。気候的に暖かくなってきたころだったので、廊下の窓を開けて涼しい風を入れたりしていました。クラウドに移行したら急に静かになりましたね。
──ご両親の愛をひしひしと感じます。
ぬるかる母 このインタビューで初めていきさつを知りました。ネットの記事は見てるので大体は分かるのですが、どうしてこうなったのかは全然だったのでよかったです。
(編集部注:インタビュー当日、ぬるかるさんは筑波のアパートからはじめて実家に帰ってきたところだった)
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