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「Pawooは創作活動の街」 世界最大級となったマストドンを立てたピクシブの思い(2/2 ページ)

» 2017年04月26日 19時00分 公開
[井上輝一ITmedia]
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これからのPawoo

 「25日にAndroid版のPawooアプリを出したところですが、iOS版もリリースを控えています。ゴールデンウイーク中か前くらいになんとか出したいです。また、pixivとの連携強化として、pixiv上の作品を簡単にPawooに貼れるようにしたい。現在はpixivのURLを貼っても画像が展開されないので、それに対応したいです。それと、pixivのページをPawooのアカウントにひも付ける作業も進めています。Pawooの各ユーザーのプロフィールページにもメディアタイムラインを適用し、そのユーザーの画像だけを見られるページを作ろうと。その他、引き続きお絵かきを楽しむユーザーさんに特化した機能を追加していこうと思っています」(清水さん)

 また、具体的なタイミングは言えないと前置きしつつ「複数のインスタンスを展開したい」とも明かした。複数インスタンスは、マストドンの活用を検討し始めたころから考えていたという。Pawooは現在、絵描きユーザーの活動の場として機能しつつあるが、創作活動は絵描きだけではなくいろいろある。それぞれの創作活動をサポートできるよう、インスタンスを展開していきたいという。

複数インスタンスの問題

 一方、複数インスタンスを展開した際に問題になるのがユーザーアカウントだ。現在のマストドンの仕様では、各インスタンスに参加するたびにID、パスワード、メールアドレスを個別に登録する必要があり、参加したいインスタンスの数だけこれを繰り返さなければならない。

 今後マストドンの普及が進めばインスタンスも多様化し、pixiv主導のインスタンスに限らず、複数のインスタンスに所属するユーザーも増える可能性がある。そうであれば、もっと簡単にアカウントを登録できる仕組みがあったほうがいい。

 これに対し、Pawoo開発チームがまず考えたのは「共有アカウント」という方法だ。1個のアカウントで複数のインスタンスに参加できる仕組みを考えていたという。だが、今では「それはやはり違う」という結論に達したという。なぜか。

 「マストドンの思想が脱中央集権であることからしても、共有アカウントに集権するのは違う気もしますし、『分人主義』(小説家の平野啓一郎さんが提唱)という考え方もあります。これは『個人』は分割できないと言われているが、そうではなく、例えば皆さんと話している僕と社員と話している僕は人格が違う、という考え方です。実際、Twitterやpixivでも複数のアカウントを持っている人がいて、コミュニケーションする相手によって人格を切り替えているわけです。そう考えると、文化の違う場所に所属するときに、共有アカウントは使いにくくなってしまうのではないかと思います。インスタンスごとに人格を持ったほうが、1つ1つの場を楽しめるのではないでしょうか」

 「必要なのはアカウント登録のハードルを下げること」と清水さん。Pawooの場合はpixivアカウント連携機能によって登録のハードルを下げている。ピクシブが主導するインスタンスは今後もこの方向性で運営していくという。


 マストドンに「創作活動の街」としての価値を見出したピクシブ。9万人という世界最大級の登録ユーザー数からも、創作活動の場として成功しつつあるといえる。次回の記事で詳しく紹介するが、ピクシブはPawooだけではなく、マストドン全体を改善していく考えだ。マストドンの今後の発展には、ピクシブが重要な役割を果たしていくかもしれない。

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