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» 2017年05月29日 08時00分 公開

最新PCやスマートフォンがバッテリーを取り外せない理由“中の人”が明かすパソコン裏話(2/2 ページ)

[白木智幸(日本HP),ITmedia]
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 交換できるタイプのバッテリー構造を実現しようとすると、どうしても強度が損なわれたり、補強するための空間や部品が必要だったりでバッテリー容量が少なくなるデメリットが生まれます。

 競うように薄型化がトレンドとなったスマートフォンでもその道をたどったように、薄型・軽量のノートPCでは、バッテリー容量を確保するためにバッテリー本体を簡単には取り外せないようになっていることが多いのです。

 こういった薄型・軽量のノートPCの場合、内部の空間が非常に限られていますので、内部にはぎっしりとプリント基板やフラットケーブルが詰まっています。仮にバッテリーを交換しようというとき、内部の部品をキズ付けてしまったり、ショートさせて壊してしまう可能性も出てきます。

 バッテリーが劣化してして交換が必要となったときには、メーカーのサービスに預けて交換作業を依頼する必要があるのです。

photo 上部からメインボード、中央部分の黒い部分がバッテリー、下部左右がスピーカー。薄型ノートのバッテリーはキーボードの下のわずかなスペースに搭載される

 2つ目の理由は、バッテリーの性質上「交換の必要がほとんどない」からです。

 バッテリーは、充放電の回数がおおよそ決まっています。例えば300回の充放電を設計寿命としたバッテリーの場合、1日に50%くらいまで消費し、100%まで充電する使い方を年に150日行った場合、約2年で寿命を迎えることになります。

photo バッテリーの充電回数は、50%消費&充電+50%消費&充電で1回とカウントする

 さすがに使いはじめて2年でバッテリーの交換が必要では不便に感じるユーザーも多いはずです。こういった問題を少しでも緩和できるように、最近のモバイルノートPCでは、充放電回数が500回や1000回にも耐えられる高性能なバッテリーを搭載します。

 仮に1000回の充放電回数を設計寿命とした場合で、10時間駆動するように作られたノートPCの場合、1日5時間(残量50%)まで消費し、再び100%まで充電するという使い方では、年間200日の使用として、5年ほどのバッテリー寿命が確保されているといえます。

 これはビジネスで毎日利用するケースを想定していますので、個人ユースで週に数回、数時間しか利用しない、または電源に接続して利用することが多い場合だと、5年を超えてもバッテリーの性能が大きく低下することなく利用できることもあるでしょう。

photo 筆者が利用中のタブレット端末のバッテリーの状態。利用開始から1年強経過して1000回のうち98回の充放電が行われ、残量が新品時の93%維持されていることが分かる

 これをLED照明に例えるなら、LEDが4万時間耐久するという照明器具があったとします。その場合、照明器具自体の寿命はおおよそ10年以上(1日8時間、毎日使用)と考えられます。

 照明機器自体もある程度は経年劣化しますから、10年も使うと機器側の故障で照明を交換する機会が来てしまうかもしれません。この場合、「機器寿命≒LED光源の寿命」と考えられ、電球の交換がいらないと言えます。

photo LED照明器具の例(出典:パナソニック)

 同じように、1000回程度の充放電性能を備えているバッテリーであれば、ノートPC本体の寿命とほぼ同レベルの性能を持っており、バッテリー交換の必要がほとんどないと言えます。

 もちろんリチウムポリマーバッテリーは、その安全を維持するために保護機能が搭載されていますので、まれに不安定になった場合などは機能を停止して安全を確保するケース、すなわち“故障”する場合もあり、交換が必要になることも。

 しかし、ほとんどの場合は機械寿命までバッテリーが正常に機能するため、バッテリーの劣化を気にすることなく、サービスに持ち込んで利用できない期間が生じることもなく、薄型・軽量のノートPCを存分に駆使して創造的な仕事に没頭することができるようになったのです。

 ノートPCなどの購入時に、バッテリー駆動時間や充電時間に加えて、どの程度の期間性能が維持できるのかというポイントでも製品を見て頂くと、よりよい商品を選ぶことができるのではないでしょうか。

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著者:白木智幸(しろき・ともゆき)

日本HP PC&タブレットエバンジェリスト。パーソナルシステムズ事業本部に所属し、法人向けタブレット製品のプロダクトマネージャ(製品企画)とビジネスプラン(販売計画)を担当。PCやタブレットの楽しさや素晴らしさを広くお伝えすることを通じ、グローバル化の進む現代でよりよい働き方を実現するためのエッセンスを提供することがテーマ。


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