Googleが2月7日、2014年に買収したスマートホーム企業のNestをGoogleのハードウェアチームに迎え入れると発表しました。“iPodの父”が立ち上げたNestは、実はこれまでGoogleではなく、親会社であるAlphabet傘下だったのです。
一見、「それが何か?」と思うようなささいな話ですが、これまでの道のりと今後を考えると、これはGoogleにとって結構重要なことです。Googleさんが、ようやくハードウェアに本気を出し始めたことが分かる証(あかし)の1つだからです。
Googleはこれまでも、ハードウェアをつくってきましたが、プロジェクトはばらばらでした。Nexus端末とか、Chromebookとか、Google Glassとか。Nestを買収したときは、たぶんIoTのためだろうなぁとは思いましたが、やっぱり統合することなく、ばらばらなピースの1つのままでした。
それが、HTCのPixelチーム買収に続くこのNest統合で、ようやくGoogleのハードウェアが「Googleアシスタントを載せるものたち」として1つにまとまった感じです。
ハードウェアに真面目に取り組むことにしたんだなと外から見て初めて分かったのは2016年の「Made by Google」イベントでした。
このとき、スンダー・ピチャイCEOに「新しく作ったハードウェアグループのリーダー」として紹介されて登壇したハードウェアの元締めであるリック・オステルロー上級副社長は「Googleに来てから一番尋ねられたのは、なんでGoogleがハードウェアをやらなくちゃいけないんだ?ということでした」と語り始め、これだけテクノロジーが人々の日常生活に密着し、複雑になってきたら、「次の大きなイノベーションは、ハードウェアとソフトウェアのAIとの相互作用にあると確信したからです」とにこにこしながら言いました。
オステルローさんはGoogleに戻ってきてから、Project Araの終了やNexusブランドの終了、Google Glassの企業向けへの軌道修正などを行い、ハードウェアチームをまとめてきました。
そうそう、オステルローさんは出戻りです。MotorolaにいたときにGoogleに買収されてGoogle入りし、もともとハードウェアを本格的にやりたかった彼は喜んだのに、結局Lenovoに売却されることになり、中国に行くのは嫌だと思って辞めたそうです(米Wiredより)。
戻ってきたのは、ピチャイさんが「これからはAIだ、ハードウェアにも本気出す」と言い出して、ハードウェアチームをまとめられる人材を探しているときに白羽の矢が立ったのでした。本当はDocuSignのCEOになるところでしたが、Googleが今度こそ本気なのを知ってCEOの座を蹴って戻ったのです。
2017年のMade by Googleイベントでは、オステルローさんは1年前よりずっと自信に満ちてエネルギッシュでした。「GoogleのハードウェアはMade by Googleという1つのファミリーとして、究極のGoogle体験を提供するのです」
ハードウェアとソフトウェアを一緒に開発するという考え方ではAppleがずっと先を行っているし、AIアシスタント市場ではAmazonのAlexaに水を開けられているGoogleですが、実行力があって仲間に人気があり、何よりハードウェアが大好き(「新しいガジェットの箱を開けるときはいつも子どもみたいにニコニコしちゃうんだよー」と言ってます)なオステルローさんなら、なんとかしてくれそうな気がします。
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