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AIとピアノで合奏できる「Duet with YOO」 ヤマハが銀座で体験イベント開始

» 2018年04月27日 09時00分 公開
[村田朱梨ITmedia]

 ヤマハと博報堂アイ・スタジオはこのほど、AI(人工知能)とピアノで合奏できる「Duet with YOO」(デュエット ウィズ ユー)の体験イベントをヤマハ銀座ビルで始めた。AIが体験者の演奏する「Twinkle Twinkle Little Star(きらきら星)」を分析し、強い音で弾けば力強い伴奏を、ゆったりと弾けば伸びやかな伴奏をリアルタイムで奏でてくれるという。AIが演奏している様子やその時の演奏のイメージもプロジェクターにリアルタイムで表示される。

photo 「Duet with YOO」
演奏の様子

 「Duet with YOO」は、ヤマハの人工知能を使った合奏技術と博報堂アイ・スタジオの映像表現技術を組み合わせたもの。自動演奏機能を搭載したアップライトピアノ、楽譜などを表示するモニター、演奏者の動きを把握する赤外線カメラ(キネクト)、左右(各2つ)と上部に取り付けた5台のプロジェクターなどで構成されている。

 480パターンもの演奏(きらきら星)で作成した統計モデルを用い、体験者が「楽譜のどの部分をどんなテンポで弾いているか」をリアルタイムに解析して追従。同じサンプルを用いて機械学習した「音の表情」(音の強さや長さ)から体験者の演奏が「優しい」のか「アグレッシブ」なのかという弾き方のニュアンスまで判別し、リアルタイムに適切なアレンジを自動演奏するという。

photo 「Duet with YOO」が演奏する仕組み

photo 博報堂アイ・スタジオの望月重太朗氏

 博報堂アイ・スタジオの望月重太朗氏(Future Create Lab 局長)は「Duet with YOOは、ヤマハの人工知能システムを一般の人にも体験してもらいやすくするため、『人と楽器をつないで演奏者のポテンシャルを引き出すAIパートナー』という視点で作った」と話す。体験イベントよりも先にDuet with YOOを公開した「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト) 2018」(アメリカ・テキサス州)では、老若男女問わず、初心者からピアノの先生、プロのミュージシャンまでさまざまな人に体験してもらい「ポジティブな反応をたくさんいただいた」(望月氏)という。

 ヤマハの前澤陽氏(研究開発統括部 第1研究開発部 知的音楽システムグループ主事)も「合奏は自分と相手の表現したい要素の折衷案を作ること。人工知能合奏技術ではそれをモデル化している。これまでは、この技術のユースケースをコンサートなどに見いだしてきたが、初心者にも使えるようDuet with YOOを開発した」と話す。

photo ヤマハの前澤陽氏

 「ぜひ国内の多くの人にも楽しんでもらいたい。体験イベントを通じて得たフィードバックは、今後の開発に生かしていく」(前澤氏)

 体験イベントは4月25日〜5月22日にヤマハ銀座ビル1階ポータルで開催。料金は無料で来場者なら誰でも体験できる。予約も不要だ。

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