「KDPで成功する人、失敗する人と両方いる。自分の場合はそれが合っただけ。それぞれの作家・作品に合ったやり方を模索すればいい」(森田さん)
では、森田さんは自身をどう分析し、KDPでの販売戦略を組み立てたのか。
森田さんは、鈴木みそさんの事例などを参考にしたという。一方で「作風やキャリアも違うので、同じことをやればいいわけではない。それぞれの作品に合ったやり方をすべきで、既存の出版システムが合う人はそれでいい」と念を押す。
森田さんは自作の強みを「シリーズもので、長く読んでもらえること。1度読めば脱落せず最後まで読んでもらえることは数字でも証明されており、まずは無料で読んでもらい、ファンになってもらいたい。定額制サービスと相性が良く、そこに希望を見いだしている」と分析する。
「今後新刊が出れば、1年間は何もしなくてもKDPで500万円は稼げると思う。キャンペーンを打てば1000万円はいくだろう。出版社と組んでもここまではいかないので、これは割の良いギャンブルといえる」(森田さん)
著者再編集版として電子書籍化するにあたり、電子版の体裁にも気を遣った。表紙や裏表紙などのデザインはもちろん、書き下ろしコラム、描き下ろしカラーオープニングなどを追加し、掲載順をより原作に近い形に再編集するなどし、「電子書籍として完璧なもの」を目指したという。
「出版社の電子本はデザインが適当なものもあったりする。ただ、1人で全部編集をするのはなかなか大変なので、編集者やエージェントと対等な関係を結ぶのは有りだろう」(森田さん)
今後もKDPを中心に、デジタル展開を独自で推進する森田さん。今の道に進んだのも「普通の漫画家の苦労をくぐり抜けた揚げ句、リターンがほとんどなかった」ことに尽きるという。常にアンテナを広げ、漫画家の佐藤秀峰さん、うめさん、お笑い芸人のキングコング・西野亮廣さんなど、参考になりそうな試みをしている人のリサーチを欠かさないようにしている。
これからの作家が生き残るために共通する戦略はあるのか。「『怪盗ルパン伝アバンチュリエ』も単行本が10巻たまり、戦うベースがあった。まずは自分のオリジナル作品をこつこつためていくことが大事」と締めくくった。
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