「体験型の旅は日本と非常に相性がいい。必ず、日本独自の進化を遂げると思っている」――米Airbnbの日本法人であるAirbnb Japanの田邉代表取締役は、6月14日に都内で開いた記者発表会でそう話した。
Airbnbは同日、日本で15日に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されることを受け、日本企業36社とエコシステムを形成する新組織「Airbnb Partners」を設立。今後は「日本らしい形」で民泊サービスを提供していくことで、拡大を目指すという。
例えばイベント企画企業のアソビシステムとは「原宿のポップカルチャーが体験できる部屋(リスティング)」の開発、毎日放送などとは京都で「古民家や伝統工芸を生かしたコミュニティ作り」を進めており、KADOKAWAなどとは宮城県塩竈市で「地元の暮らしを体験できる旅」を提供するという。また、年内にオープンハウスやオレンジ・アンド・パートナーズとともに「在宅型のホームシェア」向けの住宅の開発を目指す。
田邉代表は「日本には独自のカルチャーがたくさんある。ユニークなカルチャーと組み合わせることで、新しいソリューションを生み出したい」と話す。「もっと深くその地の文化を知りたい、その土地のソウルフードを食べたいなど、新しい体験コンテンツを待っている人は多い。日本の豊富なコンテンツを日本らしい形でパッケージングし、キュレーションして提供する」(田邉代表)
さらに、Airbnbが設けた100以上のチェックリストに合格したハイクオリティな宿だけを集める「Airbnb Plus」も導入。東京ではすでに候補となるホストに招待メールを配信しており、年内に大阪と京都にも拡大予定とした。
一方でAirbnbには課題もある。15日に施行される民泊新法で民泊事業者(ホスト)は都道府県への届け出が義務づけられており、観光庁は1日に届け出番号などを確認していない物件は旅行客が予約を確定していてもキャンセルするよう民泊仲介事業者へ通知。Airbnbはこれに従い、手続きが完了していない物件について、15〜19日にチェックイン予定だった予約分をキャンセルすると発表している。
発表会でAirbnbの共同創業者でもあるネイサン・ブレチャージクCSO(チーフ・ストラテジー・オフィサー)は、ホスト向けにそうした手続きなどのサポートを行っていくと発表。「(ホストには)Eメールやガイダンス、法律の専門家を招いたセミナーなどを通じて啓蒙活動を行う。地方自治体とも連携し、日本で最も良い形でホームシェアをサポートする」とした。
「旅先としての日本のポテンシャルを最大限に引き出すお手伝いがしたい。Airbnbが日本にもメリットをもたらすと信じている」(ネイサン・ブレチャージクCSO)
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